「殺しのライセンス」を手にしたブッシュ

今回の大統領選の前と後の違いは、「時事直言」(11月10日)で述べたように、自らの悪事の数々を堂々と証明した上で当選したことによりブッシュが「悪事のライセンス」を得たことである。今後ブッシュは内外世論に気遣うことなく、自由に大胆に、また大量破壊兵器をイラク戦争の理由に使うようなカモフラージュをすることなく、国益をストレートに追求できるようになった。経済における国益追求でもストレートになってきた。

中東軍事予算約7兆円増額を日本から調達するために、日銀の介入ラインである105円程度まで円高にして介入を促す。5−7兆円を手にするまで105円―107円のボックスを繰り返すだろう。

こうしてバブル崩壊後「失われた十数年間」の苦しみの後やっと好況をむかえたと思ったら、貯めた資金は待ってましたとばかりアメリカに持ち去られてしまう。

日本は何も出来ない

日本の金融・財政政策は誰のためなのだろうか。世界一の債権国、世界一の経常黒字国、世界一の金持ち(800兆円の預金)の国民を持ちながら、日本の国益を守ろうとも主張しようともしない日本。その気になれば、日本は経済でアメリカをコントロールすることはそんなに難しいことではないはずだ。しかし日本には、その気もなければその方法を知ろうともしない。日本の過去の歴史を知ると、現在の日本人は本当に日本人なのだろうかと思ってしまう。なんだかご先祖様を裏切っているような気がしてならない。

2005年は中東戦争の年

私が講演会や「時事直言」で繰り返し述べていたように、アメリカは2005年第五次中東戦争を起こす。国際法を平気で破ってイラク攻撃をするアメリカが2年前、イエーメン沖で自ら捕獲した北朝鮮の15機のスカッド・ミサイル(大量破壊兵器)を、「国際法に違反しない」などと言ってイエーメンに手渡した。イエーメンといえばアルカイダの軍事訓練所が数多くあり、アメリカの戦艦コールが爆破されたり、数多くのアメリカ人が殺害されたところである。

大量破壊兵器が無いのにイラクを攻撃するアメリカが、自ら「悪の枢軸」と決め付けた北朝鮮の正真正銘の大量破壊兵器を、何故敵に渡したのか。

それはアメリカの戦争の歴史を知れば自明である。

アメリカは必ず「何々を忘れるな!」で戦争を始めている。しかも「何々を忘れるな」は敵が起こしたのではなく、自ら起したり敵がアメリカに対して「何々を起こす」のを助けている。「アラモを忘れるな」(メキシコの53%を略奪)では、200名のアメリカ人義勇兵を難なく助けられたのに見殺しにした。「真珠湾を忘れるな」でも、大日本帝国海軍の行動を総て知っていながらむしろ攻撃を誘導し、2200名のアメリカ兵の命を犠牲にした。「9・11を忘れるな」も既にライス大統領安全保障補佐官は、ブッシュ大統領は「9・111が起こりうる充分な情報を持っていた」と公言している。

ではイスラエル対アラブ諸国の第五次中東戦争を起こすためには、何が必要なのだろうか。「テルアビブ(イスラエルの首都)を忘れるな!」である。イスラエルに大惨事が起きる可能性の一つに、アメリカが敵に大量破壊兵器を与えたことがある。

(2004年11月15日)