11月20日、APEC首脳会議で日米首脳会談が持たれ、ブッシュの「強いドル」発言で小泉首相は「介入のお墨付き」をもらった。ところがその政府日銀がその後介入した気配がない。テレビでは榊原元財務官をはじめ、ほとんどの評論家、アナリストが100円になるなどと言って騒いでいる。 日銀がここで円売り-ドル買い介入すれば、待ってましたとばかりヘッジファンドがドルを売ってくるから、日銀も簡単に動けない状態だ。ヘッジファンドは日銀の介入を誘ってどんどんドル安を加速させ、投資家もそれに乗ってドル売りを続けている。 こうした状況下で日銀が介入するのは得策ではない。日銀は2003年から2004年3月にかけて33兆円も介入した実績を持つだけに、ヘッジファンド側にも、いざ日銀が動いたら怖いという不安はある。今は正にヘッジファンドと政府日銀の心理戦といったところ。 日本の株価も日経ダウが先週11,000円台を回復したとたんに、また10,000円台に戻ってしまった。102円の円高とアメリカの財政赤字を嫌気したためである。これも数字の魔術に翻弄されて本当のところを見失っている結果。 相場と競輪はよく似ている。必ず最初に「まくり屋」が最初から負けることを承知で飛ばす。ゴールは後ろで力を蓄えていた者が勝つ。つまり、まくり屋はニセモノなのである。 79.75円と史上最高の円高だった1995年の結果が現れた翌年、96年3月決算で、大手輸出企業は未曾有の好決算をした。アメリカの貿易赤字が増大するのは、アメリカの景気がいいから輸入が増えた結果だ。超財政赤字ということは、それだけ財政出動して民需を拡大している証拠。円高もアメリカの民需拡大も、日本経済にとって最高である。 最高の条件を最低と言う連中は「まくり屋」と同じなのである。 投資家はゴールで勝てばいい、たとえ途中で負けていても。 (2004年11月29日) |