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日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国が国連安全保障常任理事国入りを目指したパッケージ案「G4」の見込みがなくなった。私は日本が常任理事国入りの希望を表明したときから「ばかげたこと」だと言い続けてきた。国連の常任理事国になることは、会社で言えば社員が重役に出世することであり、会社の経営、運営の意思決定に携わることである。現在の常任理事国五カ国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国はいずれも現在世界最高の軍事脅威である核兵器の保有国である。核保有国に非保有国は対抗できない。この5カ国以外の国が核を保有していたり、また保有しようとすると北朝鮮のように廃絶を求められることになる。しかし保有しない国、保有を試みる国と北朝鮮のようにすでに核弾頭とミサイルを保有している国とではまったくアメリカなどの核寡占国からの扱いが異なる。アメリカは北朝鮮を「主権国家」と認め、「北朝鮮には軍事行動をとらない」という。一方核を持たなかったサダム・フセインのイラクはいとも簡単に米英に軍事攻撃されて崩壊した。アメリカは北朝鮮に軍事行動は取れないのである。アメリカが軍事制裁に動くと北朝鮮はいち早く沖縄の米軍基地に核弾頭ミサイルを撃ち込むからである。このように今日の世界では核を持たねば自国の安全は守れないのである。すなわち主権国家になりたかったら核を持たねばならないのである。国連常任理事国は核の寡占維持のため他国の核は許さないのである。 日本人は「国家主権とは何か」を知らないようである。主権国家とは自国の国体を守り、自国の国民の生命と財産を保障する能力のある国である。自国の安全をアメリカに保障してもらっている日本は到底主権国家とはいえない。自分の責任を果たせないような人間は会社の重役になれないように日本は安保理常任理事国の資格はない。また日本は安全を保障してくれている(別の表現を使えば「日本を占領している」)アメリカに従わなくてはならない。 「日本はアメリカの属国だ」と嘆いたり、今日までの政権を非難する者は、「安全とは何か」、「日米安保とはなにか」を知らない愚か者である。1945年敗戦、GHQが日本の主権を持ち、1952年日米講和条約、日米安保条約締結以来今日まで日本はアメリカの核の傘下であり続けた。しかも日本人は「日米安保はわが国安全の要である」と日米安保体制を容認しているばかりか国体の基本としているのだから日本の主権など皆無である。自らの国の主権を否定しておいて、アメリカの属国であることを非難するとはあきれたものである。 では日本が主権国家になるにはどうしたらいいのか。一足飛びには行かないが、第一歩は、自衛隊と在日米軍が日本防衛戦略を共有することである。今回発表された自衛隊の「新防衛大綱」に自衛隊と米軍が戦略を共有すると書いてあるが、これはアメリカの仮想敵国中国に対する軍事戦略に自衛隊が協力することであって、日本の安全のために両国が戦略を共有することにはなっていない。 これからの日本の防衛指針は日本の安全保障のために米軍と自衛隊が日本の国土をベースとした軍事指揮権を共有することでなくてはならない。日本の安全を100%アメリカに依存しているところを先ず50%にすることである。 50%主権国家になるところから始めることだ。 (2005年08月08日) |