ブッシュ大統領は開口一番、「アメリカは、強いドルを望む」と切り出した。

おりからの円高は、瞬間102円まで急騰していた。しかも政府・日銀はこの円の急騰に対し、全く介入しなかった。

日銀は、2003年から2004年3月まで105円を介入ラインとして必死に守りぬいたのに、今回は102円になっても介入しなかった。

それは本年3月、日銀が逆介入(ドル高時のドル買い介入)した際、グリーンスパン(FRB議長)が不快感を表したことに起因している。それ以来日銀は、自主的介入をやめてしまった。

幸い今回の日米首脳会談で、小泉首相は晴れてブッシュ大統領から介入のお墨付きをもらった。「アメリカは強いドルを望む」の一言である。

ところがこれで円高が終わるわけではない。ヘッジファンドという恐ろしい存在があるからだ。

ヘッジファンドは、日銀の介入を期待しドル買いに回った一般投資家の裏をかいて売りまくった。だからAPEC当日ドルは、なんと102円台まで急騰したのである。

ドルの失望売りを誘い下がったところで買い戻しダブルで利益を上げ、さらに日銀の介入で上がったところで売り逃げる。こうしたヘッジファンドの前に日米トップ会談の効果は出てこない。

かつてのように、一週間で8兆円にも達した『気違い』介入でもしない限り、日本の介入資金がアメリカの双子の赤字の補填に使われることはない。すべてヘッジファンドに奪われてしまう。

さて、政府・日銀は思い切って介入するだろうか。

(2004年11月24日)