最近イラク議会の議長がスンニ派から選ばれ、シーア派とスン二派の宗派抗争は解決に向いつつあるように見受けられる。 レバノンでシリア軍の撤退を求めるデモが頻発し、ついに全軍撤退が決まった。イスラエルとパレスチナの抗争もシャロン首相とアッバス大統領がトップ会談をするなどして緊張緩和に向っている。 アジアでは相変らず北朝鮮が無理難題を求めているが、アメリカは「北に武力行使はしない」などとトーンを落としている。 誰しもアメリカ主導で世界が平和に向っているかに感じられる。 注意しなくてはならないのは、サウジ・アラビアにあった中東最大のアメリカの軍事基地がオマールに移動したこと。それに今回のシリア軍の撤退である。 イスラエルをテロ攻撃しているテロ組織を支援しているのはシリアである。従ってイスラエルの敵はシリアである。アメリカがアフガン、イラクを占領した目的は中東を軍事支配し、石油の決済通貨をユーロからドルに切り替えることだ。 最大産油国サウジ・アラビアはアメリカの同盟国だが、なかなかアメリカの要求に従って原油決済通貨をドルに転換しない。かといってイラクの時のようにサウジに向かって理由無き戦争を仕掛けるわけにもいかない。 米軍基地をサウジから引き揚げた理由は、やがてサウジ・アラビアを武力攻撃する時が来ることが数年前から分かっていたからである。 今後イスラエルに大掛かりなテロが起きるが、犯人をサウジに仕立て上げることにより、イスラエルにサウジ攻撃の理由を与える。さらにシリア軍が引き揚げたからレバノンを攻めることなく直接シリア攻撃が出来る。これでイスラエルはシリアまで領土拡大の夢が実現し、アメリカは念願のサウジ支配が可能になる。 一見アメリカは平和に向けて努力をしているように見えるが、本当は着々と中東支配の準備をしているのである。 中東戦争の他にイスラエルとアメリカの目的を達成してくれるものがなにかあるだろうか。 (2005年04月04日号) |