第364号  (2006年07月03日 国会議員号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
e-mailアドレス info@chokugen.com

国の借金は少なすぎる!

6月23日、財務省が国の借金や借入金を合計した「国の借金」が2005年度末で827兆4805億円に達し、国の借金の60%を占める普通国債の残高は526兆円で過去最高になったと発表するや、「このままでは大変だ」と日本中大騒ぎになった。全く「根拠なき騒ぎ」である。何年か前に国の借金が700兆円になった時、「国民一人当たりの借金が550万円になった、このままでは日本経済は破綻する」と騒いだ。今度は「国民一人当たりの借金が648万円になった、これは由々しき問題だ」と騒いでいる。数年前に「このままのペースで国の借金が増えると日本経済はもたない」と著名な学者、評論家はもとより与野党政治家が口を揃えた。その後、国の借金は急ピッチで増え続け、ついに800兆円を突破した今日、日本経済は破綻するどころか、インフレが懸念されるほどの高成長で、いざなぎ景気を突破する勢いである。数年前、根拠なき騒ぎをした方々はどんな弁解するのかと思いきや、なんとまたもや「大変だ、大変だ」と騒いでいる。おかげで、またもや国民は根拠なき不安に落とし込まれてしまった。

騒ぎ屋さんの話を聞いているとまるで「バナナの叩き売り」と同じ。「安いよ、安いよ、たったの500円だよ、ドロボーめ、もっていけ!」。この手のトークには「安い、高いの基準」がない。安い、安いと騒ぎ立てて客をその気にさせて売るだけ。今日、日本で騒いでいる「国の借金」の騒ぎはまさに同じことで、約827.5兆円がなぜ過大かの正しい基準が示されていない。いつも使われている国際的基準、国の借金のGDP(国内総生産)比を日本に適用するのは間違いである。この基準だと、仮に日本のGDPを530兆円とすれば827.5兆円の「国の借金」のGDP比は1.56倍で156%となる。ちなみにアメリカの年間National Debt(国の借金)は$830 billion(約95兆円)で、GDPは約$13 trillion(約1500兆円)だからアメリカの借金の年間GDP比は約6.4%で、約15年で総GDP額に到達する(日本はとっくに越している)。こうして国際的に比較してみると、びっくりするほど日本の「国の借金」が大きいと思ってしまう。これが間違いのもとである。

日本の「国の借金」(負債)とアメリカの借金(負債)の「債権者」は全く異なるのである。債権者が全く違うのに同じ基準で比較すること自体間違い。日本の債務の債権者は日本の国民であり(93%以上)、アメリカの債務の債権者は外国(約50%)である。日本の「国の借金」(多いか少ないか)の限界は債権者である国民が、自分の国に貸すことのできる限界、すなわち国民の金融資産総額(約1500兆円)である。だから現行の827.5兆円は限界の約半分だから過小である。アメリカの「国の借金」の増加は他国に対する信用度の増加分に限られる。すなわちNet worth(総純資産)の年間増加分である。1955年以来、アメリカのNet Worthは毎年約$3 trillion(約345兆円)増加しているので、現行の$830 billion(約95兆円)は過小と言える。日本の「国の借金」が増えると、(特にゼロ金利政策解除になるとなおさらだが)国の利払いが増える(債権者国民の受け取り利息が増える)。今後「国の借金」が限界である1500兆円まで増加するなら、国が債権者国民に払う利払いは増え続ける。日本は対米最大の債権国だからアメリカの「国の借金」が増え続けることは日本のNet worth(純資産増)の増加に繋がる。

「騒ぎ屋さん」の無知なところは、丁度アメリカが$830 billionの借金で毎年$3. trillionのNet worth(純資産)を生んでいるように、日本も毎年「国の借金」の増加率の数倍の純資産を増やしている事実を忘れていること。今でさえ日本の国民は世界一の金持ち(先進国総預金高の約60%の国民預金)なのに、もし「国の借金」が1500兆円になったら日本の国民は世界のマネーを独占し、日本の内外純資産は世界の脅威になるだろう。「国の借金騒ぎ」が「日本去勢プロパガンダ」であることがまだ分からないのですかねぇ。いくらプロパガンダでも、「国民一人当たりの借金がついに648万円になった!」とは子供ダマシもはなはだしい。真実は「日本の子供は生まれると同時に648万円の資産家(債権者)になれる」のです。


  各位
                                      平成18年7月吉日
                                      国際情報戦略機構
                                      アーク情報戦略研究所株式会社

拝啓 初夏の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

昨今のグローバリゼーションの急速な広がりとともに、世の中の情報量は増大し、ますますスピード化が求められるようになりました。国も企業も上質な情報をいかに早く取得できるかということが、国家戦略およびビジネス戦略を構築する上で大変重要な課題になっています。また、世界の中で日本の果たすべき役割を全うするために、確実で有効な国家戦略を導き出すことが急務となっています。世界に通用するシンクタンクとして、政策提言から政策評価までを視野に入れた国際情報戦略機構は、まさにそれらの問題を解決するべく創設されました。国内外に高度な知のネットワークを保有する機構ならではの「生きた情報」がここにあります。金融、政治、経済、外交、エネルギー、安全保障など、各方面の重要なテーマを超一流の専門家が縦横無尽に分析し、皆様のお役に立つ情報と戦略を提供して参ります。

今回開催するセミナーでは講師に防衛庁防衛研究所・統括研究官近藤重克氏をお迎えして、
『日本の安全保障を考える』をテーマとし、
@ 東アジアの軍事的緊張の原因分析
A 在日米軍再編と米国のグローバル軍事戦略
B 日本の自主防衛・外交の可能性と具体的な戦略(憲法改正を含む)
C 総合安全保障戦略構築のための理念と実現に必要なもの
等の問題に触れながら、日本の安全保障における最前線の情報をお届けします。
 防衛問題は国家の利益だけでなく、国民の生命に関わる極めて重大な問題のひとつです。多くの方々のご出席を心よりお待ち申し上げます。                                                                                      

                                                       敬具

                             記  


  1、開催日時:平成18年7月10日(月)18:00〜21:00
  2、開催場所:明治記念館 新館2F 富士の間
  3、参加費 :10,000円 (20:00より懇親会を行います。)
   (*振込銀行:三菱東京UFJ銀行 六本木支店(普通)1610290
                         アーク情報戦略研究所株式会社)        以上





※「時事直言」の文章および文中記事の引用ご希望の方は、事前にサンラ・ワールド株式会社 増田俊男事務局(TEL 03-3955-2121)までお知らせ下さい。

ご意見ご感想は:

E-mail:info@sunraworld.com

発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)