第469  国会議員号  (2008年05月26日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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大変化する世界経済

経済ファンダメンタルで経済を読んでも中々あたらない。なぜなら経済は気まぐれな生き物であり、行方の知れぬ流れだからだ。今はもう5月末になろうというのに本年度第一四半期(1−3月)のファンダメンタルを分析してどうするのか。日記を読み返しているようなものではないのか。私は昨年から2008年には原油価格が1バーレル150ドルになると言って多くの経済アナリストから笑われたものである。ところが今日になると誰一人として笑うどころか、200ドルになるなどといって逆に私に笑われている。世界の浮遊資金の現在量と新たな富の創造から今後市場に流入する資金量から計算すれば150ドルが限界である。もし150ドルを超えれば、バブルだから原油価格の下げの時期が早まり、下げ幅が大きくなるだけである。原油が何故高騰し続けるかの説明は簡単だが、現実のデータに理由など要らない。重要なのはデータの存在であり、自分の目に映った現在の証拠から何を読むかである。

さて原油価格が150ドルになると何が起きるだろうか。今までコスト高で採算が合わなかった代替エネルギー産業、特にソーラーエナジーへの投資が活発になる。原油1バーレル150ドルを上限としたエネルギーコストが世界経済の標準エネルギーコストとして定着し、この水準に経済ファンダメンタルが整合されて行く。これが今後の世界経済の変化であり、明日の世界経済である。経済は、人類の欲望の葛藤の結果として起こる瞬時の経済現象の連続であって、アメリカといえども国家がコントロールできるものではない。経済や人の心理の流れを先読みして、流れに合わせた政治・経済政策を打ち出しておいて、まるで自分が世界を動かしているがごとく振舞うのが立派な政治家である。

もうじき原油は高騰し、私の言う1バーレル150ドルになるが、これは石化時代の終焉を意味する。世界の「経済の米」であるエネルギー源が交代することは光源がローソクから電気に代わるのに等しい。ローソクが燃え尽き今や消えようとする瞬間、ぱっと炎が上がり消えてしまう。人間を含む自然の運命とはこうしたものなのである。

では今後のエネルギーコスト上限150ドル時代における石油に代わるエネルギー源は何であろうか。人類は木材、石炭、石油などの太陽エネルギーの蓄積物を使い尽くしてしまい、今残されたのは太陽だけとなった。では原子力はどうか。私は、存在(創造物)のコアである「核」(ウラニューム)を破壊することは、与えられた者(人類)の与えたモノ(神)への反逆または裏切り行為であり、破壊した者は必ず「天罰」を受けるものと信じている。だから私は原子力を人類のエネルギー源として認めたくないし、膨大な投資に対してリスクが大きすぎるのでやがて採用されなくなると思っている。

さて太陽の蓄積エネルギーを使い果たした人類に残された最後のエネルギー源は「太陽そのもの」である。これから人類が投資すべき対象は「太陽」であり、具体的には「ソーラーインダストリー」である。エネルギー源交代はまた経済尺度の交代であることも知らねばならない。太陽の蓄積エネルギーは有限だったが、太陽そのもののエネルギーは無限である。エネルギーという経済価値の有限の尺度が無限に変わろうとしている時、はたして人類は経済価値尺度の大変化に対応する準備が出来ているのだろか。いつもの同じレールを走っているときは、投資の世界では大金持ちは常に有利である。しかし経済価値が根底から変化するときは「頭で儲かる時代」である。

さて現実に戻って今後の株式投資であるが、Key Wordはソーラーエネルギーに欠かせないPolysilicon(ポリシリコン)!もしこの原材料を3年分確保できた企業が現れたら(私は知らないことはないが)、株価は3年で30倍を越すだろう。いやそれどころではない!



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)