第906号(2014年5月7日号)

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アベノミクスで「デフレは絶対に脱却できない!」。

デフレ脱却をめざし物価2%上昇目標を掲げて「円安政策ではない」などと言い訳をしながら鳴り物入りでスタートしたアベノミクス第一の矢「異次元金融緩和政策」は元より失敗の運命にある。需給で決まる物価を通貨(円)の購買力を下げることで商品・サービスの価格が円表示で上がっても緩和を止めれば元の木阿弥になるだけ。金融緩和と言う、市場が求める以上の通貨を放出して金融・不動産資産を必要以上に膨張すればバブル資金(余剰資金)が市場からスマート層の懐に入り低所得層は住宅と生活必需品価格の上昇のあおりで一層困窮する。アメリカで顕著なように大型長期金融緩和は常に社会格差を拡大する。
日本もアメリカも国家の債務は悪化の一途。国家債務のGDP比は日本240%、アメリカ100%と両国とも将来返済不能である。だからFRBも日銀も債務のGDP比を実質下げる効果のあるインフレを望むのは当然である。日米企業は200兆円以上の余剰資金を抱えているが、余剰労働者と製造能力を持て余しているから新たな設備投資は製造コスト削減・生産性向上のために限定されている。生産性向上のため有能な労働者を採用、賃金の高い古い労働者を解雇する。今日米企業は余剰資金を使って生産性向上への投資を進めているのでやがて労働者の数は減り、又製品の価格は下がる。つまりデフレ化が進む。
金利についても同様で、企業は余剰資金を持て余しているから実体経済に資金需要はほとんどないから金利は上がらない。いくら中央銀行が緩和で貨幣価値を下げても実効金利は上がらない。つまり金融緩は一種のショック療法であっていつまでも続けていると物価も金利も下がり経済成長が鈍化し、やがてデフレ化して逆効果に終わる。成長戦略ではイノベーションや構造改革が主流になるが、前述の通り生産性向上で労働者数を減らし、物価を下げるからデフレ志向となる。政治はタイミングに尽きるが、財政政策も同じである。
今回の「小冊子」Vol.56で黒田異次元金融緩和の「異次元」とは「日本の次元」ではなく「アメリカの次元」であることを解説した。とにかく金融緩和はスマート層(市場関係の富裕層)のためで99%の国民の為ではない。
富裕層の皆様も「チャンスは10月まで」と心したほうがいい。



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