第985号(2015年5月25日号)

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株価バブルの陰謀



上図はアメリカの中央銀行FRB(連邦準備理事会)のマネタリーベース(市場に流通する通貨量)の推移である。
マネタリーベースは1800年代からニクソン大統領がドルと金の交換制廃止を発表した1971年8月15日までほとんど増えることなく一定のレベルを保っている。
それは事実上の金本位制のもとでは市場が必要としない余分な通貨を発行出来なかったからである。FRBは2008年から金融緩和を始めたが日本では、2014年4月4日黒田総裁が異次元金融緩和をするまでの6年間白川前総裁は「日銀券ルール」を順守し余分な通貨の発行を差し控えたのでマネタリーベースは138兆円台で安定していた。
その後黒田総裁がマネタリーベースの約2倍、270兆円の緩和に踏み切ったのはご承知の通り。
FRBの第一次緩和(QE1)前のマネタリーベースは$1.1 trillion(約130兆円)であったが、2014年10月末の第三次緩和(QE3)終了時は約4倍の$4.3 trillion(約510兆円)に達していた。



上図は1900年台からの生産性と労働者賃金の推移である。
生産性は技術・情報革命等と人員整理(レイオフ)により右肩上がりで伸びているのに比して賃金の伸びはほとんどない。
生産性の伸びとレイオフにより創造された資産増からコストである賃金を差し引いた膨大な富はどこへ消えたのか。
忘れてはならないことは1971年のニクソン・ショック以来労働者の共働きが増加し続けてきた事実である。
今や1971年の倍も働いているのに所得は増えていないと言うことだ。
生産性を上げた張本人の働く者が当然得るべき富を奪ったのは誰だ!
それは通貨発行の自由裁量権を持つFRB(中央銀行)と国民1%の市場権威者(エリート)との共同謀議の所産である。
FRBは生産性とレイオフにより創造され資産から賃金所得を差し引いた富に相当する通貨を市場に供給する。
スマートマネーと言われる1%のエリート特権階級は、FRBからまるで天から降ってくるが如く市場に供給される通貨を競い合って懐にする。
1%のエリートが巨万の富を得ているのを見て、99% が有り金をはたき、出来る限りの借金をして市場に参加してくると株価が最高値を更新し始める。
すると必ず元財務長官やFRBの元議長(金融・財務官僚の代理人)などが市場のエリート達を集めて暴落の予告をする。(2008年のリーマン・ショック時の3カ月前の6月30日と2015年4月17日に秘密会合が持たれた)
予告後からFRBもエリート達お抱えのアナリスト達も一斉にアメリカ経済のGood Newsばかりを吹聴する。99%はまだまだ株価が上がると信じ、さらに買い増すため借金を増やしながら株を買い続けるから株価はさらに高値更新。エリート達は99%の精いっぱいの借金による精いっぱいの買い増しで株価が上がれば上がるほど売り続ける。
そこでFRBがネガティブニュースを流すと株価が大きく下げ、極度に借金をしている99%は追証に陥り、売りが売りを呼んで暴落となり一瞬の内に99%は全滅する。
借金だけが残った99%は安い給料で一生懸命働かざるを得なくなる。
夫婦揃って低賃金で一生懸命働くからまたもや生産性が向上し、5年も経つと生産性向上による資産増と賃金所得の差が拡大し、株価が再び上昇気流に乗る。
そしてまた、、、223年前NY市場発足以来の同じ歴史が繰り返される。
エリート達は金融資産や不動産資産、高価な芸術品を所有する。
通貨の購買力は通貨発行高に応じて減価するからエリート所有の資産価値は相対的に増大化するが、所得が伸びない労働者は資産価格の上昇に追いつけない。
だから緩和を採れば必ず貧富の差が拡大するのである。
永遠に変わらぬ「市場のカラクリ」を頭に入れておくことが大事。
増田先生はエリートなのですか?とよく聞かれる。
私はエリートではないが、毎回秘密会議に出席している友人がいる。
最近はエリートになったつもりで友人にアドバイスをすることもある。
私の使命は「99%を1%にご案内すること」だと思っている。
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