第349号  (2006年03月20日 国会議員号)

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「ちょっと鋭い指摘」!

人間を動物に変える日本の教育

今やどこの国でも「民主主義」を小学校から教える。「国民が一番偉いのですよ」と言えば国民は喜ぶ。民主主義国家では、国家の最高機関である国会を運営する国会議員は国民が選ぶ。国民の高い支持なくして当選なしである。国会議員の支持に最も大きな影響を与えるのが、テレビ等のマスメディア。マスメディアの運営は視聴率や購読率にかかっているから、国民への伝達は「ウケル」内容になる。ウケルには内容が難しくては駄目で、白黒はっきりしなくてはならない。小泉人気の秘訣は「構造改革なくして日本の再生なし」「改革をするのか、しないのか」「郵政民営化に賛成か反対か」……等々、Yes or No指向でマスコミ受けがいい点。

国会議員を選ぶ国民は、昔とは雲泥の差となった。昔はお国のために命を捨てた者がいたが、今はあり得ない。犬は餌をやったり鞭で叩いたりして調教しないと、家の番どころか狂犬と化して飼い主の手を噛む。民主教育で鞭打ちが禁じられた日本の教育から生まれてくるのは動物、植物人間、ロボットだけである。最近、狂犬病のような子供が多くなったのは「鞭なし教育」の産物である。「教育の民主化」が国家と民族の連帯を破壊し、日本を世紀の危機に陥れている。


「小さな政府」という無責任

政府が、国民が望むインフラ整備や福祉等のサービスを充実するには大きな予算が必要で、当然大きな政府になる。ところが、国民は政府からの恩恵は好むが納税や諸々の義務は好まぬ。小泉首相は国民の義務が軽減されるかに見える「小さい政府」を標榜して国民の人気を得ながら、「民に出来ることは民に」で、主要な国民サービスを「官から民へ」移す。今まで国民の利益だけを目的とした政府の国民サービスは、株式会社の利益を目的とする営利サービスに移管される。「小さい政府」だとか「官から民へ」などのキャッチフレーズにマスコミが踊り、国民は知らない内に「小泉改革賛成!」となった。国民は今まで通り税金を払い続け、さらに今後消費税も増額されるから、「取られるものは増え続け、もらうものの質と量が減っていく」。

小さい政府で落とされた国力と潜在的国力の「ギャップ」(差)を誰かが狙っている。政治家だけが悪いのではない。マスコミがだらしがないのでもない。国民が愚かなのではない。国益を守りかつ増大させるための情報の創造と戦略の構築、さらに海外の正確な情報収集能力に最も不利かつ劣る国民に民主主義の名の下に国家の全権を与えれば、国家の国益追求能力が著しく低下するのは自明。民主化で弱体化した国家から誰かが自由自在に利益を貪ることができる体制が世界中に拡大している。今日の民主主義体制の裏に潜むSecret(秘密)がここにある。自由拡大の名の下に進む世界の民主化!

先週、アメリカは国連の人道主義法案に反対を唱えた。アメリカは人道主義の見地から民主化を監視しようとする世界の試みまで阻止した。米ブッシュ大統領は16日に発表した「2006年国家安全保障戦略」で、「…米国の究極の目標は世界の民主化運動と民主主義制度を追求、支援することである」と宣言した。アメリカの民主主義追及こそがアメリカの国益追及!である。現代が生んだ民主主義という「世界の常識」は「世紀のトラップ(罠)」だったのかも知れない。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)