第354号  (2006年05月01日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
e-mailアドレス info@chokugen.com

世界政治経済コントロール株式会社は日本が株主、アメリカが経営者

4月27日、ワシントンからニューヨークに移動した。月曜から木曜日までは議会があるので、各州から議員がワシントン入りしている。大物議員に会うにはこの機会を逃してはならない。『アメリカを動かす10人』と題する新刊を企画しているのでインタービュー準備で忙しかった。6〜7月中に取材を終えて編集に入る予定だ。政界とビジネス界とのつながりが日々充実している。a米マスコミからも注目され始めた。特に証券関係の大物たちは私の政治・経済問題についての見解にかなり「興奮」しているため、いくつかの会社が中心になって今後私の講演をグローバル展開かつレギュラー化の準備を始めることになった。私はWarren Buffet(投資の神様)に負けない鬼才だそうだ。

アメリカは学歴や経歴にこだわらず「いいモノはいい」で即断する社会なので私向きなのかも知れない。アメリカはいわば世界の大樹であり、政治経済の原動力である。ところが意外なことに、宇宙からアメリカを見る手法は苦手のようだ。私の海外版ニュースレター“Straight From the shoulder”「ズバリ一言」が大受けするのは「宇宙からの声」のように聞こえるのかもしれない。「世界はアメリカの情報で動く」のだからといってアメリカの情報収集に専念している向きが多いが、実は情報を取った時点でその情報の価値はなくなっている。

日本にとって役に立つ情報とは、アメリカと一緒になって作る情報であると考えている。今まで日本にはアメリカとの情報共同クリエーターがいなかったようだ。これから日米の役に立つ仕事ができるような気がしている。仮に世界の政治経済をコントロールする会社があるとするなら、日本が株主、アメリカが経営者といった基本路線でことを進めていきたいと思っている。


アメリカ経済の行方

アメリカのマスコミ界でも、証券界でも、私の言葉 “ Greenspan is to the market and Bernanke is from the market”が話題になっている。要するに、「グリーンスパンは市場に仕掛け、バーナンキは市場に従う」という意味である。この基本が分かっていると今後のアメリカの金融政策が分かる。グリーンスパンは市場と対話をしながら、ある時は市場に錯覚を起こさせることまでして市場をリードしてきた。バーナンキは市場分析型で、表面の指数よりむしろドルの購買力平価などから、指数の背後にある実数をベースに市場を分析しながら市場に迎合した政策を採る。グリーンスパンのように力強い金融政策で市場を動かすのではなく、バーナンキは市場動向に柔軟に対応するタイプ。

今日の関心事は、なんと言っても5月の0.25%の利上げで利上げ打ち止めになるかどうか。雇用増大と技術開発投資が当面の米経済の使命だから、本来ならむしろ利下げをしたいところ。ゴールドと原油の高騰からインフレが進行しているとの見方があるが、こうした商品市場の活況は金余りによる「投機現象」で、現実の需給関係とは無縁である場合が多い。投機による商品相場の高騰がガソリンのように消費者価格に転嫁される場合は問題だが、今のところガソリン以外にはほとんど影響が出ていない。ガソリンも原油相場が先週の76ドルから急速に下落しているように、投機相場は「上がったものは下がる」が原則。投機ゲームの良し悪しで金融政策を決定してはならないことをバーナンキはよく承知している。

FOMC(連邦公開市場委員会)は6月からの利上げを一時停止するが、実際に商品需給が悪化した時と投機相場が広く消費者物価に転嫁される事態になったら再利上げをする。しかし、ここのところは一旦利上げ中止だから、目前の日米夏相場到来は確実!


役に立つ勉強会のお知らせ

アメリカの中東戦略、イラン核開発、パレスチナ問題、対中軍事包囲日米作戦、資源戦争、情報戦争、等々新情報と解説のためセミナーを行います。「知れば勝てる」!


※「時事直言」の文章および文中記事の引用ご希望の方は、事前にサンラ・ワールド株式会社 増田俊男事務局(TEL 03-3955-2121)までお知らせ下さい。

ご意見ご感想は:

E-mail:info@sunraworld.com

発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)