株価 日経平均は3月8日の15553.14円から4月7日の17563.37円まで、わずか1カ月間で2010.23円も上げた。私は4月の第一週、本稿や講演、放送などを通して警告を発した。「地固めをしないで一足飛びに上れば、また地固めをしに帰ってこなくてはならない」と。また「5週間での上げが元の木阿弥になるのに5日もあれば十分」などとも言った。昨日5月11日の日経平均は16862.14円だから、ちょうど1カ月で701.23円下げたことになる。5月10日にラジオ放送でリスナーの方から「増田先生の5月暴落説は当たるでしょうか」という質問があった。あまり明確な経済的理由はないが、毎年5月は下げの月なので下げるが大したことはないのではと言ったが、実際は大したことになった。 何度も述べてきたが、最近の急激な上げ下げの元凶は内外仕手筋の先物市場の価格操作である。また私は18000円を抜く「夏相場」を繰り返し述べてきた。異常な相場展開が終わり、全員参加型の相場が目前。今週の大幅下げによって夏相場は一歩近くなったと考えていいのでは。「下げは買い」が相場の原則。今日は最後の買いチャンスか。 靖国問題 ライシャワーセンター東アジア研究所の所長(ワシントンD.C.)であるMr. Kent Calder氏の靖国問題に関する見解が、4月30日の朝日新聞の一面に出ていた。氏との対談を私が主幹を務める月刊『力の意志』(2005年12月号)で特集したこともあり、ワシントンでは私の活動に大変お世話になっている。また氏は4月、ワシントン(日本大使館)で裏千家大宗匠によるお茶会を主催され、ローラ氏(ブッシュ大統領夫人)をはじめ米政財界の錚々たる方々を招いて日米親睦に貢献された。氏は、日米関係はアメリカにとっても最も重要であるが、最近は日米会話が十分機能してないと危惧されている。また、日本はアジアに対してアメリカに代わって担うべき役割があるが、これも十分ではないと言われている。ライシャワー元駐米大使同様日本をもっとも「愛している」方であるがゆえに危惧されるのだろう。 さて、そのカルダー氏の小泉首相の靖国参拝に対する「苦言」が前述の朝日新聞トップ記事になっている。中国や韓国の言う歴史認識とは若干異なるが、アメリカが日本の侵略に対して戦争をしたという認識が日本にないのではないかと心配している。小泉首相の「不戦の誓い」と「加害者意識」との「違い」にも着目している。そもそも日本では罪人も死ねば「神」になる。しかし中・韓では違う。罪人が死ねば肉体は朽ちるが「魂」は残り続け、加害者に対する復讐心は永遠に消えないのである。彼らにとって靖国参拝・祈祷は、自分たちにとっての憎き魂の復活を意味する。中韓の宗教と思想は変わることはないから、中韓にとって日本の靖国参拝に妥協はない。大戦の加害国としての立場と「敵を愛すことのできる日本文化」を考えれば、文化・宗教からの正義を押さえなくてはならないのは、やはり日本の方だろう。 カルダー氏は、日本の首相の靖国参拝問題が多くのアメリカ人に広まり、日本の歴史認識が誤解され、日米同盟関係にひびが入ることを恐れている。靖国参拝は「日本がアジアに対する責任を果たせなくしている」とまで述べている。まさにカルダー氏の「正論」である。しかし私に言わせれば、文化を利用して反日感情を煽る中韓の政治戦略と、アメリカもまた靖国参拝による日中関係悪化を利用した面も見逃せない。しかし正論からも、現実の日米中韓の政治戦略上からも、今や日本の首相の靖国参拝は不要になりつつある。
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