第373号  (2006年08月04日 国会議員号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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御礼

 去る7月29日に開催いたしました「増田俊男の目からウロコの会・スペシャル"大阪夏の陣"(於御堂会館)」には猛暑にもかかわらず、南は沖縄から北は北海道まで、1階から4階まで全席を埋め尽くすほどの大入り満員! 感謝、感激です。

  ちょうどワシントンからの帰国直後であったことから、アメリカの指導者たちの地政学的リスクに対する本音から、インフレを理由にしたFRBの利上げの「からくり」などなど、アメリカの本音をお伝えすることができたと確信しています。全講演内容をCD(全三枚)とテープ(全二巻)にまとめましたので、出席された方は記録のため、また出席が叶わなかったかたは「目からウロコの真情報」としてご利用ください。

 いま台湾に滞在中ですが、明日8月5日は私の講演会が台北のコンベンションセンターで開催されます。「追っかけ」のみなさまが10名以上駆けつけてくださいました。ありがたいことです。台湾は今、中国との関係をめぐって国論が二分されています。いわば理想主義(現与党・民進党)の独立派と現実派(国民党)です。両論対立の中でマネーは国境を越えて中国に浸透し、対中投資は前年比で35%増に達しています。現政権は銀行業務など未だ解禁していませんが、マネーの威力に政治がどこまで抗しきれるのか。もはや時間の問題でしょう。中台の資本の絆が強まれば強まるほど政治リスクは減少するはず。昨日は私の長年の旧友、国民党副主席江氏とじっくり中台問題を論じ、全く意見の一致。今日は前総統の李登輝先生とやはり日台中関係についてインタービユーをします。お誘いいただいているゴルフができないのが残念です。


アメリカが先制攻撃態勢に転換したわけ

 講演では個人と国家の「正当防衛」にからめて、なぜアメリカは先制攻撃型の態勢を採るかについて話すつもりである。個人が誰かに命を狙われた時、殺される前に相手を殺しても罪にならない。国家も自国を標的にした敵国のミサイル発射の引き金に手がかかったら先制攻撃が許される。2001年9月11日の同時多発テロ以来、ブッシュはアメリカの軍事戦略を先制攻撃に変更した。ということは、アメリカは崩壊(存否)の危機に瀕していることを意味する。NYの世界貿易センターが崩壊してもアメリカは崩壊しない。イスラエルはハマスやヒズボラからどんなテロ攻撃を受けても崩壊しない。世界一の軍事力を誇るアメリカに対して軍事的にアメリカを崩壊の危機に追いやることのできる国はない。

 それなのにアメリカはなぜ先制攻撃を宣言したのか。仮にイラクが大量破壊兵器を持っていたとしても、イラクはアメリカの脅威になり得なかった。にもかかわらず、アメリカはイラクに先制攻撃を掛けた。なぜか。対イラク先制攻撃の本当の理由はサダム・フセインがイラク原油の決済通貨をドルからユーロに換えたからだった。日産300万バーレルの原油が1バーレル30ドル(ユーロに切り替えた当時の価格)で売られていたのだから、アメリカには毎日9000万ドルの新たなドル需要があった。だから、アメリカはドルの価値を落とすことなく、借金返済のために9000万ドルのドル札を印刷することができた。それがサダム・フセインのおかげでできなくなったのである。日産3000万バーレルを産出するOPEC諸国がイラクに追従すれば、アメリカは一日9億ドル借金が払えなくなる。これだけでドルは大暴落必至。ブッシュが宣言した「テロに対する20年間戦争」とは何を意味するのか。テロでアメリカが崩壊しないなら、アメリカは20年間何のために戦うのか。

 イスラエルのレバノン侵攻に対して、イスラエルに発言力を持つアメリカはイスラエルの軍事行動を止めようとしない。最近の地政学的不安要因を分析すると、アメリカの戦争が一貫してドル崩壊を狙う勢力に向けられていることが分かる。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)