第391号  (2006年11月27日 国会議員号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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少子化を簡単に改善できるチャンスが目の前にある!
それは北朝鮮の核!?

11月20日付のワシントンポストに私の友人、下村博文氏(内閣官房副長官)の日本の少子化問題に関連したコメントがFred Hiatt記者によって紹介されていた。今日、公立の幼稚園やデイケアーセンター等の入所待機児童解消策に関連して、氏は「母親が家庭で子育てに専念すれば問題は解決するのだが……」と述べたという。下村氏の言を安倍首相にぶつけたら、首相はさすがに仲間(?)に逆らうことを避け、「母親が外で仕事をすることも、また家庭に留まることも自由に選択できるような環境を作ることを目指す」と述べたと記されている。

果たして母親の子離れが少子化の原因だろうか。終戦直後は食糧難、就職難で父親は職探し、母親は食糧確保で子供のことを構っていられなかった。母親は明日の糧を得るために子供を近所に預けて遠い田舎へ買出しに行ったものだ。母親の子離れを言うなら、この時代ほど酷い時代はなかった。ところが、この時代「子沢山」であったため、政府は産児制限までして少子化に努めた。当時一家に5人や6人の子供が当たり前だった。こうした歴史的事実(現象)からすれば、残念ながら下村氏の「子育て専従主婦」は少子化改善には当たらないことになる。

そもそも人間を含めて動物はなぜ子供を生むのか。それは生物の「生存本能」のためである。つまり「少子化は人間(生物)本能の問題」である。動物実験をすれば自明の通り、「生命が危機に晒されると生殖器官の活動が盛んになり出生率が上がる」。生命に対するリスクが種の生き残りのためより多くの生命を生むのである。戦後の食糧難・生活苦の生命リスクの中で、産児制限をしなくてはならないほどの子沢山現象が起きたのは、人間本能に関わりがある。今日の日本は総じて戦後のような食糧難も経済的生活苦もない。経済でアメリカを追い越した頃から日本は種の生存本能が積極的に働く環境ではなくなった。だから、以来少子化現象が続いているのである。

今日の日本政府の少子化対策は人間の本能を無視したものだから効果など期待できない。先進国アメリカの人口が最近3億人に達した。移民効果もあるが、実際アメリカ人の出生率は上がっている。アメリカの人口増の原因は二つある。その第一は、日本の終戦直後と同じような貧困層が人口の20%以上を占め、4000万人もの国民は医療保険もなく毎日生命の危機に晒されている。第二は物理的安全問題。強盗・殺人・家庭内暴力はアメリカ社会の日常茶飯事。さらに9.11のようにアメリカ人の生命は世界のテロリストの標的! 先進国でアメリカほど生命の危機に晒されている国はないのである。だから先進国でアメリカのみ、人口が増加しているのである。

いまや少子化は安全で幸せな国家の象徴である。では、実効ある日本の少子化対策は? いまさら終戦直後に戻れないから、日本の国民が震撼とするような生命の危機が連続的に存在すれば、生命生存本能が働きアメリカのように人口増になるはず。従って、生存本能論からすれば北朝鮮の核廃絶は日本の物理的生命危機解消に繋がり、少子化を益々加速させることになる。「北朝鮮の核の脅威が少子化問題を解消する」とは悪い冗談だが、一面真実でもある。本気で少子化問題を解決したいなら、生存本能からのアプローチが必要であることを強調しておきたい。

ところで、少子化が安全で幸せな国家の象徴ならなぜ不幸な国家を目指すのか。幸せな小人口国家のビジョンがあってもいいのでは。




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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)