第425 国会議員号  (2007年8月13日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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世界的株価下落の原因解決!

今回のアメリカ発サブプライムローン問題について私の見解をお伝えします。

結論から言って、今回のCredit Crunch(信用不安)問題は解決されたと考えていいと思う。欧州中央銀行が先週木曜(8月9日)に$130.60 billionの資金投入をしたのを皮切りに、金曜(10日)にはFRB($38 billion)、さらに日銀、バンク・オブ・カナダ、スイス、オーストラリア等の主要国中央銀行が資金投入に踏み切ったからです。 

米FRBは欧州中央銀行(ECB)の資金投入の時期と規模について苦言を呈しながらも追従した。ECBの資金投入規模は木曜日が130.60 billion、続いて金曜日に$83.61 billionと2001年の9/11以来最大の規模であった。FRBが何故ECBに非難がましいことを言ったかと言うと、「何も本当の数字を市場に教えることはないではないか」と言うことである。資金投入は必要最低限度にして、「必要とあれば何時でも、またいくらでも投入する」と言うメッセージを送るだけでいい。

常に真実を知らされない市場は、わずかな真実が憶測を呼び異常な反応を示すものだからである。異常な悪循環もあれば、好循環もある。これが市場の宿命なのである。しかし今回の世界的信用不安の真実が尋常でないことから、ECBが必要な資金供給に踏み切ったのである。だから、Good NewsであるはずのECB大規模資金投入(9日)は翌日(10日)逆に、「そんなにひどいのか」と市場は不安一色になり世界的株価暴落となった結果世界の主要国中央銀行は一斉に大規模資金投入に追い込まれたのである。世界の資金ポジションを正確に把握出来るのは中央銀行だけである(金融機関の1万ドル以上の資金の出入は正確に中央銀行に把握されている)。金融機関もアナリストも憶測は出来ても正確に世界の資金ポジションを知ることは出来ないのである。金融機関そのものが貸し手であると同時に借り手であり、又レバレッジで市場に大きな影響を与えるヘッジファンドも売り手であると同時に買い手であり、またそれぞれの金融機関やヘッジファンド間の資金動向は極秘であり、互いに知りえないからである。だから実際の信用不安の規模を知り得るのは中央銀行だけなのである。だから今回世界の中央銀行が必要に応じて市場に資金供給することを決めたことは、世界の信用不安問題は解決したと考えていいのではないか。

しかし今後金融機関の資金凍結や大手ヘッジファンドの破綻等ネガティブニュースが続くから不安定な市場は続くだろう。しかしアメリカ発のサブプライム問題は基本的には解決したと見るべきだろう。

日本経済は、既に4-6月期は外需が減り、内需拡大傾向が明白になっている。 

この傾向が10月まで続き、長期的傾向として確認されると一気に円高が進み、年末から来年中は円高・株高が基調となるだろう。それにしても、小泉政権とは正反対な景気構造になろうとしているのに、相変わらず安倍政権は極度の公共投資抑止政策を断行している。日本経済が内需依存型にならざるを得ないとき、政府はどのような財政政策を採るべきか。言うまでもなく公共投資増で内需拡大をはかることだ。これでは、安倍晋三首相は国民ばかりか市場からも拒否される。安倍内閣続行は「困ったものだ」では済まないところへきているのでは。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)