今回の株価暴落で「底」を打ったのか? 答えは「ノー」! 日経平均は先週8月14日の終値から17日の終値、この4日間で1570円(約9%)も下落した。アメリカのサブプライムローン問題から起きたCredit Crunch(信用収縮)懸念が世界的に広がったからである。実際、アメリカの大手住宅専門金融機関の一部が破綻し、住宅債権を組み込んだファンドもキャンセルや解約に直面し、資金難に陥る事態も頻繁になってきた。 ECB(欧州中央銀行)、FRB(米連邦準備委員会)、日銀等、世界主要国中央銀行は金融機関の資金枯渇を救済するため、市場への資金供給を続けている。また17日、FRBは公定歩合を0.50%引き下げ、金融機関への資金供給コストを若干下げた。こうした中央銀行の対応が好感され、17日のNYダウ平均は233.3ドル高となり欧州でも総じて戻り相場となった。ニッケイ平均も20日(前場)は562.89円高と、17日の下げの半値以上の戻しとなった。 私の予想がやっと「過去」になった 昨日から本日にかけて、日本のメディアは専門家を集めて株価と為替の年内予想の特集をしていた。評論家は口を揃えて「本格的株価上昇は9月末からで、1万8000円以上。為替は107円になるのでは」などと言っていた。私は昨年から「2007年10月円高(110円)株高(1万8000円から2万円)を「口癖」にしてきたが、同じことが今になって言われ始めてきた。「決まったことをいうのは予想ではない」! やっと今までの私の予想が過去になったので、ここで新たな私の「予想」を述べたいと思う。 過剰流動性が相場を決める 私は市場をタライに例える。タライに外から水が入れば水かさが増し、外へ出ていけば水位が下がる。相場の将来を予想するには「水位の推移」を知ることが肝要。2006年9月のNYダウ平均1万1500ドルから2007年7月の1万4000ドル台までの急上昇は何によってもたらされたのだろうか。答えは過剰流動性である。中国、日本、アジア諸国の余剰外貨準備、オイルダラーが年々増え続け、アメリカに流入したからである。ゼロ金利に近い円を借りて、隔月0.25%利上げを続けたドルを買い続けたのと、アメリカが中国に人民元の切り上げ圧力を掛けながら米国債を買わせ続けたのが大きく米株価上昇に貢献した。 今回のサブプライムローン問題は、米経済の好況を牽引してきた要因、つまり内需の限界を表すもの。新たな景気牽引車、すなわち外需依存型の市場環境が整うまで市場は混乱する。しかし、今回の暴落で「10月から米国経済は外需、日本経済は内需に依存して、景気が再起する」ことが確定したのである。今後、この「あるべき方向」へ世界の過剰流動性は推移(シフト)することになる。 今回の暴落での副産物は「ドルの弱さ」が市場に認識されたこと。円は今なお利上げができる余地があるが、ドルは利下げをしなくてはならない状況にあることを見ればそれは明白。今後(10月以降)のアメリカ経済、特に世界の市場をリードするのは円であり、日本経済であることを「予想」する。 何度も言うが、安倍内閣に「市場感覚」が欠如していることが世界経済最大のリスク。さっさと財政出動で内需を喚起すればいいのだが、安倍氏にしてみると、今、「心そこにあらず」ですか?
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