第463  国会議員号  (2008年04月17日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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アメリカ経済はいつから不況脱却するか

一般に「アメリカは不況になるかどうか」が関心事であるのに対し、私が「アメリカは2001年以来不況下にある」という考えを持っていることはご承知の通りである。アメリカ発の信用収縮でアメリカの投資銀行をはじめ世界中の金融機関は100兆円を超える被害を出しているが、FRBや世界主要国中央銀行の資金供給と債務過剰に陥った投資銀行への資金援助や増資の引き受けでアメリカの金融システムの混乱は正常化しつつある。ただ未だアメリカの住宅専門金融機関(セービングローン)やヨーロッパ(アイスランドなど)の一部で金融破綻が起きる可能性は残っている。アメリカの経済は2002年から2006年まで住宅(不動産)ブームと株高によって牽引され平均約4%の高成長を維持してきた。しかしバブル部分を差し引けば実際は1%以下の低成長だったというのが私の見方である。アメリカ経済からバブルが消え去った後から出てくるのが真の実体経済である。したがって今後のアメリカ経済は実体経済によって牽引されることになる。この認識が今後のアメリカと日本の経済を予測する基本となる。信用収縮後遺症の結果としてアメリカの投資銀行が商業銀行に吸収されたり子会社化されたりすることで5月中にはアメリカの金融再編成が完了するだろう。したがって製造業中心のアメリカ経済が始動するのは今夏からになる。また株価が安定的上昇に転じるのもこの時からである。


アメリカの製造業を支える中東戦争

これも本誌で何度も述べたことであるが、昨年米国アナポリスでの中東国際会議で2008年中に中東和平合意を成立させるとの声明が発表されたが、中東に和平合意がある場合とない場合ではイスラエルとパレスチナの軍事抗争の性格がどう変わるかについて述べたことがある。実際に軍事抗争そのものは変わらないが、和平合意がない現在の場合の抗争は単なる地域抗争に過ぎないが、和平合意が存在している環境下での抗争は先制攻撃をした国が国際条約違反をしたことになり、国際戦争に発展する可能性が高くなると述べてきた。中東での国際戦争はアメリカの基幹産業であり実体産業中の実体産業である軍事産業の市場開拓である。アメリカ経済の方向はすでに決定され、経済を牽引する実体産業の成長も中東戦争で保証されている。モノ作り天国の日本経済が国際戦争でもっとも大きな恩恵を受けるのは歴史が証明するところである。日本経済は国際戦争時(朝鮮戦争、ベトナム戦争、東西冷戦)のみ繁栄し、冷戦終了の1991年からアメリカがテロとの戦争を始めた2001年の後半まで長期不況に陥っている。(2002年から一気に好況に転じている)平和国家日本の経済は常に戦争を期待しているのである。幸か不幸か戦争は目の前である。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)