第466  国会議員号  (2008年05月08日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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日本が世界の金融センターになる時

経済の主権者は市場(マーケット)である。国家の政治・経済政策は市場に影響を与えることはできても市場を主導することはできない。市場は「見ざる手」である。「市場の真理」は時として人間性、道徳、倫理に反する。市場はもっとも規制のない自由で、勝手が最大限に許される世界である。市場参加の興奮、得意の絶頂と落胆の繰り返しはまさに極限まで許された自由の結果である。もし市場の真理の権化に成れたら、世界中の富を我が物にすることができる。いつ株がどの位上がり、またいつどの位下がるかがわかったら、あっという間に世界一の金持ちに成れる。さて「市場真理の要因」はたった二つしかないことをご存知ですか?それは「安全」と「リスク」である。大金持ちは安全第一、小金持ちは大金持ちになるためバクチを打つ。小金持ちがバクチを打って負けたリスクの損が大金持ち(安全のモノ)に渡る。

市場は生き物である。深い狙いと浅い夢が葛藤する時を生きるのが市場である。私が原油価格は150ドルになると言って笑われたのは昨年の10月のことである。昨日原油価格は122ドルになった。私は原油の需給など気にしない。私自身が世界一の大金持になった気分で市場を眺める。どうしたらバクチ打ちの小金持ちの金をすべてわがものにできるかと。答えが決まっているときバクチは打てない。今の市場はバクチにもっとも適している。「明日がわからない」からである。市場にも人間社会にも共通した「真理」がある。それは、必ず儲かるのは「バクチ打ちではなく胴元」ということ。胴元がアメリカで開帳すれば、NYに金が集まる。もし私が胴元なら、八百長がばれて客が逃げ始めたアメリカの賭博場は閉める。まじめで正直者のイメージのある日本で開帳する。日本なら世界の小金持ちが安心してバクチを打ってくれるからだ。原油が150ドルにまでなるのは市場という生きものが賭博場を代えるところまで育っていないからだ。今の市場はまだ若造なのである。しかし今に若気の至りでは済まなくなる。NYが大幅に下げ、ニッケイが大幅高になったら市場が「賭場替え」に気がついた証拠である。そのとき日本が金融センターになる。


アメリカのインフレが日本にプラスする

バーナンキFRB議長の金融政策は不況対策を主眼にした利下げとマネーサプライで完全にインフレ対策を犠牲にしたものであった。原油を中心にした商品価格の高騰と、その結果のインフレ加速は当然のことである。過剰融資時代のインフレは無責任とはいえ景気がいいし、生活に活気があるが、サブプラム問題で融資枠引締め時代のインフレは生活を直撃するから大金持ちと小金持ちの差が開く。小金持ちに金が回らなくなるから小金持ちはバクチができなくなり、大金持ちは小金持ちの金を当てにできなくなる。1500兆円もの使い道のない大金を持て余している黄金の国が海の向こうに見える。さあ、胴元さんどうする。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)