第471  国会議員号  (2008年06月09日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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本格的なアメリカ売り、日本買いはまだまだ

前回第470(6月2日)号で、先々週から続いていた日米株価上昇に警告を発し、「株高による安心感は投資家にとって危機であると判断せざるを得ない」と述べた。私は海外のためお会いしてPC(プライベート・コンサルティング)をすることができなかったが、極親しくさせていただいている投資家の方々には時間をぬって電話とメール・コンサルをさせていただいた。こうした株高による(安心感ではなく)「危機」が来たときの私の口癖、「利益確定!明日では遅すぎる」をアドバイスした。いまごろ皆様安堵されていることだろう。

2週間も日米株価が上がったのは、債券・商品(原油)市場から、米国経済から不況が遠のいたという、とんだ大間違いの誤報(私はマニュピレーションと考えている)で資金が株式市場に移動したからである。しかも(債券安で)長期金利を上昇させたのだから、ただでさえ悪化しているアメリカ経済をさらに悪化させることになる。当然株価は下げなくてはならないのに上げ続けたのである。したがって直ちに調整されるのは決まりきったことであった。先週末のNY市場の魔の金曜日、394.64ドル安は、下がるべきところ上がっていたのだから、その上げた分の帳消しと、本来あるべきであった下げの合計である。これでやっとCurrent (今日のまともな株価)に戻ったのである。

さて今週からは、アメリカ経済の不況とインフレ合体(スタグフレーション)の進行状態が株価に反映する。アメリカは現在不況の真っ只中にあり、さらにインフレが加速している。この最悪の事態にFRBは利上げも、利下げもできない「お手挙げ状態」。マネーにとってアメリカでの「長居は無用」!である。では世界のマネーはどこへ向かうのか。アメリカを売ってどこを買うのか。答えは、「債券・商品市場といった短視眼からグローバルな視点で資金が安全地帯(Safety heaven)を求めて動き始める」。

これから投資家にとって大事なことは、グローバル経済の基本と日々の情報を安全性で分析する習慣を身に着けることである。常日頃の私の主張、「日本の夏相場」は、21世紀の経済の基本と投資家心理から割り出した自説である。「債券市場・商品市場と株式市場間の資金の行き来に注目する時代は終わった」。

眠れる日本市場が注目される時が来ようとしているのである。

添付のご案内は、投資判断に役立つ「わかりやすい教則本」と思っていただきたい。




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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)