第511号(2009年03月02日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

経済情報は悪いほどいい。
The worse the fundamentals are, the better for the market.

今日のアメリカ経済ファンダメンタルは1929年のThe Great Depression (大恐慌)より深刻である。先週の株価は12年来の安値となり、昨年11月21日の最安値を簡単に下回った。これで「株式投資は目先ではなく3−5年の長期投資をすれば必ず儲かる」という神話が崩れた。こうなると、さすがのアメリカ人も「もう株式投資は止めよう」と思うのは当然だろう。そこへ来る日も来る日も、ネガティブ情報の嵐では、株価が上がらないのは又当然である。

前回本誌で「市場が正しいのは、売り手市場から買い手市場に転換する瞬間だけだ」と述べた。今NY市場は毎日「どん底」を探し求めているような相場展開である。全投資家の最大関心事は、「いったい何時底を打つのか」だろう。

投資家は市場から資金を引き揚げ現金化に専念しているから株価に反比例して貯蓄性向が上がっている。国民は贅沢を慎みながら生活水準を出来る限り落としている。貯蓄と消費は反比例するから消費は減退、GDP(国内総生産)は下降線をたどり続ける。では何時になったら相場が逆転するのだろうか。

それは、「売る株がなくなった時」であり、また「これ以上生活を切り詰められなくなった時」である。出来高低迷が続いているので今後昨年11月のような大量売りはないだろう。アメリカは車社会だから、原油価格が1バーレル147ドルになってガソリン代が1ガロン4ドルを越したとき限界生活水準に達しかかった。ところがその後一気に原油が急落し、いまやガソリンは2ドル台に下がり、生活に若干余裕が出来てきたため、ドン底生活突入のチャンスを逸してしまった。しかしまもなく失業率が8%を越すと思われるので、これで平均生活水準は限界に達すると思われる。株価上昇を願うなら、皮肉ながら更なるネガティブ情報を期待せざるを得ない。今週アメリカの失業率が発表されるが、7.8-7.9%に達するなら「買いサイン」と考えるべきである。

相場逆転の時を目前にして、大不況を大チャンスと考え、チャンスの生かし方を考えてみた。ご参考ください。

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