私は11月27日(金曜)の「ここ一番!」で、「株買い、ドル買い、金売り、原油売り」の緊急アドバイスをしました。本日は本誌の読者の皆様にもDubai World(ドバイワールド)問題と今後のアメリカの株価について私の考えを述べたいと思います。
先週水曜(日本時間26日木曜)、UAE(アラブ首長国連邦)政府系持株会社であるDubai Worldが債務返済猶予(6ヶ月)を債権者に要請したことが報道されたことから再び世界的信用喪失(Credit crunch)に繋がるのではないかという不安が広まり世界中の株式市場で株価が大きく下げました。ちなみに27日のニッケイ平均は301円、NYダウは154ドル下げました。ここで重要なことが2点あります。
一つはDubai World 問題が起きた先週一週間、ニッケイ平均が416円下げたのに対してNYダウは僅かに8ドルしか下がっていないことです。これはいかにNY市場の上げトレンドが強く、ニッケイが弱いかを現しています。しかし一方NY(S&P)のP/E(株価÷1株当り利益)が経験則上の限界を超える36ドルに達していることからNY株価が完全にバブル化していることになります。バブルは必ず調整されますから、NY株価は今や何時調整されてもおかしくない状態です。そこへDubai World問題が起きたので、これをきっかけに一気に調整に入る可能性があります。
そこで注意しなくてはならないことは、NYの下げが続いた場合、その理由はDubai Worldによる信用不安が原因ではないということです。
実は今回のドバイ問題について私は10月末頃、「ここ一番!」や小冊子の読者からの質問のお答えの中で、「やがて常識では考えられない(異状な)事態が起きる」と述べています。だからDubai World問題が報道されるやいなや「ここ一番!」や小冊子の読者から質問が殺到しました。ほとんどの質問は、Dubai World問題が2007年のサブ・プライム・ローン問題から発したCredit crunchのような事態に発展するのではないかという懸念でした。そこで私は、リーマン・ブラザーズ破綻で象徴された信用喪失は約$2.2 trillion(約200兆円)。今回のDubai Worldの債務総額はナキール(傘下不動産投資企業)を含めて$59 billion (約5兆1,000億円)。債権者は欧州系が約40%でアメリカや日本は8%前後だから当然日米への影響は限定的。さらに今回のDubai Worldの返済期限延期要請は会社更生法のようなもので、債務を6ヶ月棚上げにした上で、毎秒地中から湧き出てくる原油という名の現金で立ち直りを計ろうとする措置。したがって三つ子の赤字国アメリカから起きたサブ・プライム・ローン問題とは事態が根本的に異なる。その上アラブ首長国連邦がDubai Worldの債務保証に乗り出したのだから債務は安全であるばかりか、6ヶ月間の延滞利息まで払われるから債権者にとって大きな利益になる。パニックが終わればDubai World問題が世界の信用不安などにはまったく関りのないことがわかると説明しました。だから冒頭に述べたように株とドルは買い、金と原油は売りのアドバイスをしたのです。やがて私のアドバイスが正しかったことが証明されるでしょう。
何度も繰り返し申し上げていますが、バブル化している今日のNY株価にどんな調整があっても、それは「上昇トレンド下の調整であって、2007年12月からのトレンドとは180度異なる」ということを銘記していただきたいと思います。
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