第562号(2009年12月02日号)

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仮需要から実需へ

私が今まで再三指摘してきたように、アメリカの株価が年初来高値更新を続けているのは実体産業に資金需要がない状況下でFRB(米連邦準備理事会)と世界の主要国中央銀行の金融緩和による潤沢な資金供給のためです。いわば行き場を失った世界資金がリスク市場、中でも投機市場に流入し続けているからです。需給に関りなく金や原油が高騰しているのはそのためです。その点株式市場も同様ですが、商品市場とは区別して考えるべきです。そこで注目しなくてはならないことは、オバマ大統領の神業的挑戦です。ここまで株価を支えてきた仮需要(バブル)を一瞬にして実需ベースに切り替えようとしているのです。バブルは必ず崩壊(調整)されるものですが、オバマ政権は経済ファンダメンタルで最も重要な雇用と消費の増大化のための政策を急速に実効化することで、出来ればバブル調整を避けようとさえしているのです(スピードが命です)。
これも何度も言ってきたことですが、民主党政権の経済政策の正反対、かつ中国の内需拡大政策と方向を同じくしたコンクリート型ばら撒き公共投資に拍車をかけています。1−3月期の失業者数50万人台は今や(11月)10万人台に改善されました。また消費動向も格安品から中、高級品に移っていることが消費関連企業の決算で証明され始めました。今や中央銀行から供給された潤沢な資金は仮需要によって膨らんだまま実体産業へ向かおうとしているのです。それに拍車をかけるのが飽和状態に達した家計貯金の消費と投資への移動です。
オバマ政権の経済ブレーンの市場と消費者心理の読みのしたたかさには敬服するばかりです。「それに比べて、、」とは申しません。

投資は目先と一定スパン

11月27日の「ここ一番!」で「株買い、ドル買い、金売り、原油売り」の緊急アドバイスを発し、また11月30日の本誌で、「ドバイ問題で信用不安は起きない、むしろGood newsだから買い」と述べました。また「NY株価にどんな調整があっても上昇トレンド下の調整だから下げても直ぐ上がる」ことを示唆しました。結果はどうだったでしょうか。先ず11月27日のNYダウ10,309ドル、30日は10,344ドル、12月1日は10,471ドルでした。11月27日のニッケイ平均は9,081円、30日は9,345円、12月1日は9,572円でした。ドルは84円(11月27日)から87円(12月1日)に上がりました。11月27日のアドバイスに従った「ここ一番!」の多くの読者の皆様から感謝されました。「本当にドバイ問題は買い情報でしたね」と本誌読者からも連絡を頂戴しています。
前述の通り商品市場は株式とは異なった考えで対処すべきです。株式市場と異なり商品市場は今後「下降トレンド」であることを忘れないでください。資金は「投機から投資」へ方向転換するのです。金や原油は11月27日から一旦下げた後昨日(12月1日)急騰しましたが、これは「下降線上の上げ」です。具体的には「売り方の買い戻し」に過ぎません。
投資指向には、こうした短期の変動狙いと、今後のトレンドをベースにした一定のスパンでの戦略とがあります。私のアドバイスは目先ではなく、現在では2010年3月31日までを第一スパンとしたアドバイスになっています。第二スパンは2010年8月31日です。今後も文字で表し切れない「何か」は私独特の(力強い)肉声でお伝えすることにしています。





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