2010年の経済はどうなるか?
投資家は屋根に押し上げられてからハシゴをはずされた!
アメリカは日本の失敗を繰り返している!
オバマ政権の積極的景気刺激政策(Stimulus)でアメリカの経済は回復するという望みが怪しくなってきた。それはアメリカが20年来の日本の失敗を繰り返し始めたから。
1989年地価は下がらないという神話の中でニッケイは3万8千円を越す史上最高値をつけた。ところが土地神話は消滅、不動産と株(金融)バブル崩壊で株価暴落。
長期化する不況から脱出するため政府はゼロ金利政策と量的金融緩和を万年化する一方、赤字国債を乱発してコンクリート型公共投資を繰り返した。その結果国の累積赤字はGDPの170%という世界経済史上最悪の事態に陥ってしまった。株価はといえば20年経った今も最高時の4分の一を彷徨い続けている始末。今日までの日本の金融、財政政策が日本を先進国中最悪の経済劣等国にしてしまったのである。
オバマ政権の不況脱出のためのゼロ金利政策、連続赤字国債乱発、インフラ投資のための超大財政出動は20年来日本が歩んで失敗した政策に他ならない。すでにアメリカの財政赤字は2009年だけで約140兆円を超える勢いで、累積赤字はGDP比60%に向かっている。バーナンキFRB議長は、「日本の失敗に学ぶ」と言ったが、実際は日本の失敗を地で行っている。
捏造されたNY株価の行方
株価が経済のバロメーターという考えは改めなくてはならない。株価は、アナリストなどの情報で左右される投資家の景況感で動く。投資家の景況感と経済は往々にして一致しない。それは昨年3月から12月までNY株価が65%も上げた一方で失業者が270万人も増えた事実を見ればわかる。2009年DJI(NYダウ)は18.8%、S&P500は23.5%、NASDAQ(ナスダック)は43.9%上がった(3月の底からではいずれも60%以上の上昇)。この株価高騰を作ったのは何度も解説してきたとおりFRBを初め世界の中央銀行が供給し続ける潤沢な資金と投資家の景況感である。アメリカの失業率は今なお26年来の高水準10.1%であるし、住宅の伸びもむらがあって到底回復したとは言えない、肝心の消費も景況感の改善で伸び始めたように見えるが失業率が高止まりである限り本格的な伸びには至らない。さらに欧州の数カ国で過剰債務問題が起きているため基軸通貨のドルが安全通貨として上昇し始め、アメリカの製造業の国際競争力が落ち始めている。3月から一直線に上げ続けたNY株式市場は到底アメリカ経済を代表しているとは言えない。作られたマネー・バブルと言うべきである。株価高騰の要因となったFRBのゼロ金利政策も何時までも続けることはできないし、オバマ政権は一旦緊急不況対策予算の延長を決めたものの、既に述べた通り雪だるま式に膨らむ財政赤字の元では限界がある。
今までの株価高騰を支えてきた潤沢資金供給と財政支援に限界が見えてきた2010年、株価は一体どうなるのだろうか。投資家は2009年屋根の上に押し上げられ、2010年になってハシゴをはずされようとしている。
異常株価!
P/E Ratiosを見ていただくとわかる通り、2009年のP/E、すなわち株価を利益で割った数は超異常である。経験則からはP/Eが20を超えたら株価は高過ぎと判断されると言うのに現在のNYダウの平均株価のP/Eはなんと150を越えている。不況のドン底時のP/Eが平均8であることを考えれば、株価はあまりにも高すぎる。P/Eが8になる株価へ向かってCorrection(調整)が起きるのは避けられないだろう。
しかし、株高はもう少しは続く
それはFRBがゼロ金利政策を来年まで続行するという観測とTARP(不良債権救済策)を10月まで延長し約50兆円を準備すると発表したからだ。オバマ政権が徹底したバブル政策を継続する限りNYの株価は高値で維持されるだろうが、今までのような上げはあり得ず、3月まで高値圏(10,500ドル前が限界)が保てる確率10%、保てない確率50%と見る。私はNYに若干遅れてニッケイは3月からの本格的に上げるだろうと言ってきたがこのままではあり得なくなってきた。消費が爆発的に上昇し、企業業績が飛躍的に伸びると予想していたがまったくあり得なくなった。こうなると投資家の楽観的景況感も続かないだろう。
いくらBull(牛/買い方)がモウ、モウと唸っても投資家の耳障りになり始めると、モウこのまま高値維持は難しく、今度はNYが先導してニッケイも一直線で下がる事態になりかねない。
私は12月中旬から下旬にかけて盛んに持株の売りをアドバイスして来たがこれからも続けるつもりである。何時まで高値が維持され、何時から下降線となるか、これこそ今投資家が知らねばならぬこと。詳細は時がきたら「ここ一番!」でお伝えします。
オバマ・マジックが成功するか失敗するかがポイントだが、その答えは短期と長期の見方で異なる!
|