第612号(2010年10月19日号)

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北朝鮮の後継者決定!

経済崩壊寸前!
誰が後継者になるのか話題を集めていた北朝鮮の後継者が金正日総書記の末っ子三男、金正恩(Kim Jong−un)27歳に決まった。
摂政役に義弟を任命、また実妹の金敬姫に軍の高職を与えた。
若年、未経験の正恩に老練の兵(つわもの)付け、軍を冷徹な実妹に任したのは実に巧みな後継体制と言える。
日本の戦国の世にもよくあったことだが、この体制を見れば北朝鮮がいかに内紛の危機にさらされているかがわかる。
本年3月に起こした韓国軍艦撃沈事件は内紛を外粉に「目を反らす」典型的政治手法であった。
今の北朝鮮は通貨暴落で超インフレ、食糧難と飢餓は極限に達している。
正に経済崩壊寸前である。
さらに近年携帯電話の普及(20万台以上)とヤミ・ビデオで韓国の実情が広く知れ渡り始めている。
個人あたりの韓国とのGDP(国内総生産)比は、韓国$28,000.00に対して北朝鮮は$1,900.00、15分の1である。
経済崩壊が刻々と迫る中で、もはや人民としてではなく動物として自由と食糧を求めて韓国と中国の国境を越えて何十万、何百万がなだれ込む可能性は日一日高まっている。

朝鮮半島統一

6カ国協議の主題は常に北朝鮮の核問題である。
私はかつて、北がミサイル発射と核実験を繰り返した2007年、6カ国協議がいつの間にか「北の核廃絶から核機能停止」に目標をすり替えた理由を説明したことがある。
また「拉致問題は朝鮮半島統一まで絶対に解決しない」とも述べてきた。
南北統一問題は、北に核を持たせたまま、かつ米軍を韓国に維持したまま統一し、統一朝鮮をアメリカの同盟国に出来るかどうかにかかっている。
もしそうなれば米中は軍事対決に追い込まれる。
実は北の核の脅威などは単なる見せかけで、米中韓に取って最大の脅威は「北朝鮮の崩壊」なのである。
だから6カ国協議で制裁を決めながら実際は経済援助を増大化しているのである。6カ国協議が中国へ北朝鮮に圧力を掛けるよう要請しても中国がジェスチャーだけなのは北の崩壊を恐れるからである。アメリカ、中国、韓国の最大の脅威は北の核ではない!「北の崩壊」である。
今まで米中韓で最重要課題として同意、決定していなければならなかったことは、「北崩壊後の政治合意」であった。
しかし各国は最重要課題を避けて今日に至っている。
北の崩壊は、朝鮮半島統一がアメリカ主導になろうと、中国主導になろうと、このままでは米中を絶対に避けて通れない米中対決に追いやることになるのである。後継者を金正恩に決めたことがいかに北朝鮮の最後を物語っているかを知らねばならない。
繰り返される北の世襲を笑う前に、今米中韓、さらには日本が直面している核より恐ろしい現実に身を震わすべきではないのか。
無駄だろうが日本は6カ国協議で核問題より北の崩壊問題を主題にするよう各国を説得すべきだ。


P.S.日本人拉致は、日本に南北統一の犠牲(ドイツでは東ドイツの融和のため10年間GDPの5%を費やした)をカバーさせるための人質である。従って日本が拉致問題を問題にすればするほど日本の犠牲の額は多くなるだけである。


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