第671号(2011年8月29日号)

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“Two best salesmen for defaulting bones”
(不履行国債の二人のベスト・セールスマン)

アメリカの国債発行の上限を決める米議会は8月2日の期限前に暫定的上限額200兆ドルを決めて米国債の不履行はなんとか避けられた。今後、オバマ政権は同額の財政切り詰めが義務付けられるが、発表されている各分野の切り詰め案は正に絵に描いた餅であって単に国債セールスマンを助けるための演出以外の何物でもない。一方、ヨーロッパでは、昨年5月ギリシャ国債不履行事態が発生して以来アイスランド、イタリア、ポルトガルにギリシャと同じ財政問題が起きている。ギリシャは「2012年までに負債(国債)をGDP比5%にする」と誓ったためECB(ヨーロッパ中央銀行)とIMP(国際通貨基金)が緊急救済を行ったのでギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)は土壇場で免れた。
1年後の本年ギリシャの債務はGDP比5%に接近するどころか100%を突破、再び債務不履行の危機に陥った。そこで7月21日ユーロ加盟国17カ国が保証する形でEFSF(European Financial Stability Facility=ヨーロッパ金融安定機構)が約110 billionユーロ(約157 billionドル)の救済を行うことを決めた。
ところが負担額がわずか2%のフィンランドが保証に対する現金担保を積むようギリシャに要求したため他の加盟国も同じ要求をする動きが出始めた。このままでは7月21日のギリシャ救済案の実行が難しくなり、再びギリシャ国債不履行の危機となる。2020年度償還のギリシャ国債135 billionを保有しているヨーロッパの民間銀行は償還期限を30年間延長することになっているがまだ債権銀行群の60%しか賛同していない。

中国詣で

アメリカのバイデン副大統領は中国で大暴動が起き、政府が民衆の要求を受け入れて公共建物の取り壊しを断念した直後(先週)中国を訪問した。訪問中にセットされた米中親善バスケットボールの試合は大乱闘になり米選手に机や椅子が投げつけられるシーンが世界中に報道された。米副大統領は中国に更なる米国債引き受けの合意を得たので有意義な旅であった。帰国の途中、日本に立ち寄ったが、日本に対して米国債の引き受けを要求する必要はなかった。米副大統領が日本に来た事実だけで日本は米国債を買うことは日本の義務だと心得ているからである。
 8月25日(木)サルコジ仏大統領はフランス主導(名目上はNATO)でリビアのカダフィ政権崩壊に成功したのを受けて中国を訪問、リビア新政権に中国の関与を求めると同時に中国にユーロ債の引き受けの合理を得た。
 アメリカは中国の最大の弱みである暴動を何時でも起こせることと、何時でも中国を国際社会に恥曝しにできることを見せつけ潜在的債務不履行の米国債を売り付け、フランスはリビアの原油の利権をちらつかせ同じく潜在的不履行ユーロ債を売り付けた。
 アメリカは脅迫でフランス(ヨーロッパ)は与えるつもりのない餌で国債(国の手形)を売って不渡りを免れている。
 日本や中国が米国債とユーロ債を何時までも引き受け続けることは永遠に米、欧の奴隷になることを意味する。ドル債とユーロ債が不履行になれば日本も中国も外貨準備の総てを失って破綻する。日本や中国はアメリカとヨーロッパから国債不履行という核兵器で脅かされながら稼いだ金を巻き上げられているのである。年初オバマ政権にドル防衛のアドバイス(金の買占め)をしたが、今後は日本と中国にアドバイスしたい。
 国債を買う代わりに欧米の軍事産業と優良企業の株を総て買占めよと。買収価格が高ければ国際市場でドルやユーロの空売りを行って株価を暴落させて買えばいい。ドルとユーロの崩壊を救いながら債権国の権利として欧米の優良企業を総て乗っ取ることだ。これ以外に欧米の国債不履行という名の核兵器の脅威から逃れることは出来ない。


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