第682号(2011年10月28日号)

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ユーロ圏財政問題の解決など無い!

目先のギリシャ国債デフォルト(支払い不能)危機は確かに消えた。
欧州時間27日(木)ヨーロッパ首脳会議が終わり、ギリシャを筆頭に世界の金融市場を揺さぶってきた欧州財政問題に一応の終止符が打たれたということで世界中の株式市場は大幅な上げとなった。
フランスのサルコジ大統領の言葉ではないが、その「大胆なるプラン」とは欧州銀行に保有するギリシャ国債を50%カット(損切り)させ、かつ自己資金を106 billionユーロ(約11.3兆円)増額させることであった。これでとりあえずギリシャの国債不払いの心配はなくなったとされているが、50%のカットで今後ギリシャにデフォルト危機は起きないのかは不明。さらに銀行向け損切り補てんとしての公的資金投入と今後のイタリア、ポーランド、スペインなど大国の財政悪化に備えて欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の安定化資金を1 trillionユーロ(約107兆円)に増額することになった。具体的には11月7−8日のG20までに域内財務担当者間で詰めることになっている。

EUのSovereign Crisis(国債デフォルト危機)は解決しない!

今回の欧州首脳会議は目先に迫ったギリシャの国債デフォルト危機回避のためとイタリア等大国の財政危機再燃に備えただけで肝心の何故ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポーランド、スペインが財政危機に陥り、何故ドイツは問題が無いのかというユーロ通貨体制そのものについて全く言及されていない。
ユーロ体制の問題点を追及するどころか体制維持に徹した感がある。
ドイツの財政状態が良く、逆に他のユーロ圏諸国が悪いのはドイツの経済競争力が他国より優れているからである。ドイツと他国の競争力の差が拡大する最大の理由はドイツと他国の通貨が共通だからである。優れた生産性とイノベーション力を持つドイツと非効率な経済構造の他国が共通の市場で競争出来る筈がないのである。ユーロ共同市場が出来た1999年以来、漁夫の利を得続けてきたドイツと犠牲を被り続けてきた他国の差が限界に達した結果がギリシャ、その他の国債デフォルト化現象である。今回目先の欧州財政危機を回避するにあたってドイツの責任と負担が増大した。今後ユーロ共同市場を維持すれば漁夫の利より犠牲が増すので、今後間違いなく再燃する次期欧州財政危機に際してドイツは国民の不支持を理由にこれ以上の犠牲は払わなくなるだろう。「用が無くなったら捨てる」のがドイツの国益だからだ。
これからは「ユーロ体制は無いもの」と考えた方がいいだろう。


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