ギリシャ国債の債務不履行(デフォルト)確定!
私は昨年「2012年になるとギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)が確実になりユーロ危機が再燃する」と述べてきたが、今世界が注目しているのは正にギリシャ国債不履行問題解決の行方である。
昨年から私が何度も主張するように、ギリシャ国債は2009年5月の段階で事実上破綻している。「事実上」と言うことは、会社で言うと業績が悪化し事業所得で事業の為に発行した商業手形(商手)が落とせなくなり、不渡りを避けるために融通手形(融手)を発行して割り引いてもらわなくてはならなくなった状態を言う。ギリシャは当時対GDP(国内総生産)比100%に近い国の債務を5年以内に5%まで下げると約束したので2009年IMF(国際通貨基金)とECB(欧州中央銀行)がギリシャの国債(融手にあたる)を買って救済したのでギリシャ国債の不履行は避けられた。ところが2011年になるとギリシャの国の債務は減るどころか増え続けGDP比約130%にまで悪化した。会社で言うと万年赤字のため事業収益で融手を落とすことさえ不可能になった状態。そこへ本年3月20日145億ユーロ(約1兆4千億円)の国債償還を迎えるので2月上旬(正確には2月5日)までに支払い準備が出来ないと債務不履行(デフォルト)になる状況に追い込まれている。先週からギリシャ財務担当はNYでIMF幹部と融資の交渉をしているがIMF理事会で拒否権を持つアメリカは融資に反対である。一方IMFはギリシャ以外のユーロ圏(イタリアなど)の将来の債務問題への準備で600億ユーロの資金調達を求めているがアメリカは勿論だが日本を除く加盟国は否定的である。ECBも2009年の約束を反故にしたギリシャに再融資することにドイツが反対しているので難しく、EFSF(欧州金融安定ファシリティ)自体も最近の債券格下げで資金調達が困難に陥っている。さらに公的機関からギリシャが融資を受ける条件である民間債権者との約50%の債権放棄交渉は難航。こうした現状からギリシャの国債不履行は(私の予想通り)確定的になっている。
今や市場の関心はギリシャの債務不履行がどういう形になるかである。
「無秩序な不履行」というギリシャのユーロ脱退なら大暴落になるが、その後、問題国(イタリア、スペイン、ポルトガルなど)の政治統合が一気に進むので市場の混乱は一時的に終わる。(「小冊子」Vol.32における予想)
しかし実際は「秩序ある不履行」(ギリシャにユーロを維持させたままの)形だろうから、欧州債務問題の抜本的解決は先延ばしで何時までも問題が尾を引くことになる。今後、欧州問題国は厳しい緊縮財政と増税が強いられるので経済成長はあり得ないから貿易黒字で国債を払うなどあり得ないことになる。
つまり会社で言うと融通手形連発の自転車操業に陥ることになる。
EFSFもEFSM(欧州金融安定メカニズム)も債務問題国への金融支援機構、つまり会社で言うと融通手形割引機構であって、業績で手形を落とすための事業支援機関ではない。
EU27カ国中ユーロ加盟国17カ国の経済、政治主権を剥奪した形のドイツ中心欧州帝国が出来るまで欧州経済は崩壊の危機から脱することは出来ないだろう。
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