第702号(2012年01月26日号)

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赤字国転落?、、心配無用!

2011年の貿易収支が31年ぶりに約2.5兆円の赤字になったと報道されたことから今後我が国は貿易赤字国に転落するなどというコメントが多くなっている。
一昨年から述べてきたように日本経済は先進国に先駆けてすでに20年も前から低成長期に入っているので日本は今後の低成長時代の最先進国である。
低成長期時代では日本の輸出は当然量から質に代わるから輸出量が下がるのは望ましい傾向である。今後の輸出は付加価値の高い製品に限られ、新興国や途上国市場での量的需要には現地生産で対応することになる。
すでに日本の海外直接投資は急増し直近でも5兆円を超えており今後増加し続けることは間違いない。従って2011年の海外からの所得(利子や配当金)12兆円強は今年倍増する可能性さえある。
今、物議を醸している2.5兆円の貿易赤字は東日本大震災と福島第一原発事故によるサプライ・チェーン問題で自動車を筆頭に輸出産業の生産量が落ちたことと、急場しのぎの火力発電へのシフトによる天然ガスと原油の輸入急増によるものである。サプライ・チェーン問題は解決したので問題の半分は解決した。
天然ガスと原油価格は中国等新興国需要とイランのホルムズ海峡封鎖危機などから上昇している。
日本はエネルギー効率が先進国で最も高く、円高はさらに輸入コストを下げるから日本のエネルギー負担率は先進国中最も低い。
2012年の貿易収支は昨年の赤字要因が解消すると同時に海外所得が大幅に伸びることから経常収支の黒字は大幅に伸びるだろう。
日本経済は政府の施策に関わりなく新しい時代に向けて順調に構造を変えながら先進国中で最先端を進んでいる。「赤字定着」などの可能性は皆無。
日本経済に安心と期待はあっても不安はない。

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