何事にも裏(真実)がある
シリアはリビアとは違う
リビアには石油があり、シリアには無い。だからシリアでの国民犠牲が6,000人になっても10,000人になってもアメリカもNATO(北大西洋条約機構)も軍事介入はしない。中東におけるアメリカの利益は原油支配とイスラエルの領土拡大である。イスラエルの領土拡大を阻止する直接的加害者はシリア支援のヒズボラであり、さらにシリアを支援するイランである。丁度アメリカを原油利権からボイコットしたサダム・フセイン前大統領のイラクを国連無視で攻撃して今や100%原油支配しているように、イスラエルの野心を阻止するイランを壊滅することはサウジアラビアに次ぐ産油量支配になりアメリカにとって一石二鳥である。
フランスとイギリスがNATOの名のもとにリビアの反政府武装集団を軍事支援してガダフィ大佐殺害に追いやったのは、両国がリビアの原油利権を持っていて独裁者ガダフィ大佐が邪魔になってきたからである。
うらやましいギリシャ
3月20日のギリシャ国債をデフォルト(不履行)から救うための第二次支援策の大枠は昨年10月に欧州首脳会議で決まっていて支援額は130億ユーロ(13兆円)だった。ところがその後3カ月の間にギリシャの財政はさらに悪化、172億ユーロが必要になってきた。民間債権者も手持ちギリシャ国債を50%カットすることに合意していたが75%カットでないと間に合わなくなっている。
こうした中で支援トリオ(欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金=IMF)はギリシャに一層の緊縮財政を要求せざるを得なくなった。トリオは財政削減、年金給付削減、最低賃金の引き下げ(勤労者給与削減)等を要求、2月12日の国会で承認しなければ第二次支援は打ち切りと迫った。ギリシャ国会は10万人が緊縮条件要求反対デモを国会前で繰り広げる中でトリオの要求を総て承認した。これで木曜にも第二次支援策は実行されることになる。
表の話は以上だが、本当のところは全ユーロ採用国からギリシャは本音でうらやましがられている。特にイタリアの悔しがり方は異常とも言える。ギリシャは過酷とも言えるトリオの条件を国会承認し172億ユーロの支援を受けるが、来る4月の総選挙で国民が選択する新内閣は間違いなく12日の国会決議をボイコットした上でギリシャがユーロ脱退を宣言するのは今から決まっているも同然。
イタリアならギリシャの17兆円ほどのはした金ではなく100兆円単位の支援が得られ、しかもその結果ユーロ体制崩壊になったらリラ(従来のイタリアの通貨)に戻ればいい。今の欧州でユーロ体制が維持できるなどと信じている者(インテリ)は一人もいない。ならば「火事場ドロボー」こそが最大の国益である。各国がギリシャをうらやましく思う所以である。
それにしてもこんなありがたい話に反対デモ10万人とは皮肉なものである。
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