日銀-FRB(連邦準備理事会)政策決定を読む
「ここ一番!」の読者には4月17日号で、「日銀に金融緩和の余地が残されている点に外資が注目している」ことについて述べましたが4月24−25日(日本時間25−26日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)と4月27日の日銀政策決定会合に市場の注目が集まっています。アメリカの3月の雇用増が予想(20万人)に反して伸びなかった(12万人)ことと4月に入ってから製造業景気指数が鈍化し景況感が後退してきたことで市場はFRBの追加金融緩和を期待しています。しかし「ここ一番!」ではっきり述べた通り、現在の良好なファンダメンタルズのもとでは一時的景況感の低下だけで追加緩和を期待するのは難しいでしょう。
日銀は下記のバランスシートの数字を見ればわかる通り、FRB(米連邦準備理事会)とECB(欧州中央銀行)に比べて最も金融緩和量が少ないことから更なる緩和が期待されています。
日米欧中央銀行バランスシート
日銀: 139兆3,788億円
FRB: 229兆3,374億円
ECB: 274兆8,736億円
日銀の西村副総裁は「日銀が定めた物価上昇目標1%に向けて能動的に政策対応を進めていく」と述べています。確かに更なる円高にストップをかける上でも日銀の追加金融緩和は有効です。米国時間4月24日のFOMCでは0.25%の実行金利の据え置きだけで金融緩和策のニュースは出ないでしょう。ただFRB議長バーナンキ氏は良好な経済ファンダメンタルズにもかかわらず、アメリカ経済にはまだまだ不安要因が多く本格的景気回復にはまだ「程遠い」などと述べ追加緩和の可能性を残しています。一方、日銀は市場からも与党(民主党)からも日銀内部からも金融緩和圧力がかかっているので4月27日の政策決定会合で資産買い入れ基金を前回(10兆円)の半分の5兆円ほど増加する可能が高いと考えます。バーナンキFRB議長はオバマ大統領再選の後押しに積極的ですから、早い時期の追加金融緩和で商品市場に資金が流れ込み原油価格が高騰しガソリン価格が上がることを恐れています。消費と景況感は上げるがガソリン代は上げない戦略を(一昨年12月米財務省に私の金在庫増大のアドバイスを進言したと同じ)ワシントンD.C.のシンクタンクに伝えました。
実行されるとすれば6月のFOMCからになるだろうと見ています。
5月のギリシャの総選挙とフランスの大統領選で欧州債務問題が再度くすぶり始めるので、FRBとしては選挙後の欧州市場の動向を見極めた上で動きたいところです。FRBは現在いわゆる「ツイスト・オペ」(長期債約4,000億ドルを買い取り、同時に短期債を売却することにより長期金利を下げる政策)を実施していますが本年6月30日に終了します。従ってFRBとしては6月中に何らかの代替金融緩和策で繋がないと景気の息切れを招きオバマ再選に不利となります。
6月にFRBが新たな金融緩和政策に踏み切れば、間違いなく7月からアメリカの住宅価格と株価が急上昇し、ガソリン代だけは横ばいとなるはずです。
本誌でも再三「ニッケイは7月から高騰する」と述べてきましたが、以前から6月のFRBとそれに続く日銀の更なる追加金融緩和は確実と考えていたからです。
FRBの6月の金融緩和政策の詳細と4月と、5‐6月の株価動向は本日の「ここ一番!」で具体的に述べていますのでご参照ください。
ご協力金をお送り下さり本当にありがとうございます。
おかげさまでデトロイト、ニューヨークに続いてワシントンD.C.にも行けるようになりました。NYでは「キッシンジャー氏を囲んでの勉強会」の打合せを予定し、ワシントンD.C.では仲間のシンクタンクに私が提案している「新型金融緩和政策」の説明をします。協力金をお送り下さった皆様にお送りする「新・特別レポート」には一切メディアに出ないワシントン情報を追加いたします。
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