第773(2012年10月24日号)

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アメリカの政治・経済の不確実性(Uncertainty)

2007年末からアメリカのサブプライム・ローンの焦げ付きに始まり、2008年9月のリーマン・ショックで決定的になった世界的不況に対処するためFRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長は世界の先進国を先導して金融緩和政策を強力に推進すると同時に日本を除く先進各国を通貨安競争に追い込んだ。
私の唱える「下山の哲学」の時代認識を欠いた中で、来る米大統領選をオバマ再選に導くことを主眼にQE3(第三次金融緩和)に踏み切った。
経済に成長性がある時の金融緩和なら銀行の企業向け融資が増えて、雇用と消費に好影響を与えるが、成長が止まった経済にあってはWall Street(金融資産)と一部の強い競争力を持つ独占資本の資産を増大させるだけに止まる。
リーマン・ショック以来株価(金融資産)は150%増大し、優良企業500社(S&P)の企業の余剰(浮遊)資金は$2 trillion(約160兆円)に達している。
私の予想通りNY株価は中暴落の様相となってきたが、アメリカ企業の今期第4半期の業績予想は思わしくなく、2013年はさらに悪化する見通しが出てきた。さらに欧州債務問題は、欧州首脳会議で決められるような生易しいものではないことが分かってきた。もしアメリカ議会とホワイト・ハウスが年内に実行可能な財政赤字削減策が決められないことになると、昨年決まった通り財政支出削減と増税が義務付けられる。今の米財政の悪化進行状況では「打出の小槌」でもない限り財政健全化策などあり得ない。実際のところアメリカ経済はギリシャ同様財政規律強化と大増税以外に打つ手はなくなっているのである。今度また「問題の先送り」をすればアメリカ経済は致命傷を負うことになる。
一方、テクニカルな見方をすると2008年からの超金融緩和で金融資産は100%以上膨張しているのだから市場参加者に余裕資金は堆積しているし、大手優良企業には膨大な潜在的投資資金が眠っている。
と言うことは確実な見通しが立てば、何時株価が高騰しても不思議ではない状況にある。
S&P 1,600ドル、NYダウ15,000ドルを唱えるアナリストがいるのも不思議ではない。ではNY株価は何故下げに転じてきたのだろうか。それは市場参加者と富裕大企業が経済の不確実性から「投資と雇用を控えている」からである。
相場と言うものは、良いニュースであれ、悪いニュースであれ、はっきりすれば活性化し、結果高騰するものである。
当面の不確定要素の第一は11月6日の米大統領選であることは言うまでもない。バーナンキFRB議長の任期は2014年1月までだが、オバマ再選なら、金融重視政策になるから株価にはプラス、ロムニー新大統領になるとバーナンキ議長は辞めることになり、ロムニーは強力な財政立て直しをするので、株価にはマイナスで、金融市場は縮小の止む無きとなる。また最大のリスクは経済成長である。市場参加者と大手企業の富裕資金が市場に向かわないのはアメリカ及び世界経済の成長性が見えないからである。私の説のように、これから経済は「下山」だから、今後経済ファンダメンタルズという事実として「成長無し」が明確になる。
欧州経済はマイナス成長に陥っていて、回復の兆しは何処にもないので、すでに不確実性ではなく不況決定である。
仮にオバマ再選なら、次なる市場の「不安」はインフレである。
Fiscal Cliff(財政の崖淵)とはバーナンキ議長が名付け親だが、今になって議長はアメリカ経済を崖から谷底へ落とすつもりで名付けたのではなかったのに、、悔んでいるだろう。



*「ここ一番!」の読者には、NYダウとニッケイの「今後の底値」を明日(25日)連絡します。
お楽しみに。
*今週のインターネット放送は26日(金曜)、「欧州財政危機の陰謀」です。
*11月早々に販売する「小冊子」(Vol.40)の題名は「嵐の前の静けさ」で、2008年からの世界の政治・経済を総括し、「避けられない事態」とその対処法について詳しく述べます。



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