第781(2012年11月19日号)
《国会議員号》

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次期政権は「資本の意志」が望む通りになるだろう!

「資本の意志」とは、国家から通貨の発行権を得て、国家から法的にも実質的にも完全に独立している中央銀行(米連邦準備銀行)、日銀、ドイツ連邦準備銀行等々で、中国の中央銀行(中国人民銀行)や欧州連合の欧州中央銀行(ECB)のように国家や国家群に属しかつまたその支配下にあるものを除くほとんどの先進国の中央銀行の株主又は事実上「中央銀行の支配者の意志」と理解して下さい。


中国人民銀行、イラン中央銀行、北朝鮮中央銀行、その他ベネズエラ、スーダン等数ヵ国を残すだけで、独裁国を除くほとんど自由主義諸国の中央銀行は「資本の意志」の影響下になっている。
アメリカ合衆国政府は自国の中央銀行(連銀)の株式を一株も持っていないからアメリカの通貨であり世界の基軸通貨であるドルはアメリカ政府の支配と権力が及ばない機関(中央銀行)で発行されている。日銀の発行株式の55%(過半数)を財務大臣名で政府が保有している日本は先進国では例外中の例外である。明治15年(1882年)の日銀設立時に遡るが、当時日本は外資の戦略(?)でハイパー・インフレに陥ったため政府発行券の信用が落ち、外資の援助により政府から独立した日本銀行の日銀券に切り換えることになった。その際(明治32年=1899年)に明治の偉人達が外資による国家資本支配を防ぐため政府から別の機関になった日銀株式の政府保有を55%にしたのである。
アメリカでも今日の中央銀行(連銀)が立法化された1913年、保有金の範囲内しかドルを発行しなかった州立銀行券を「資本の意志」の支配下にあったイングランド銀行が不渡り処分にし、アメリカを金融恐慌に陥れたことで強引に今日のFRBを立法化した経緯がある。「資本の意志」に支配されない為、日銀は設立以来通貨発行高以上に政府(国家)の借金(国債)を買わないという伝統を守り続けてきた。経済の資金需要以上に通貨を発行すればインフレとなって物価上昇となり国民の利益を損するだけでなく、日銀の国家支配力が高まるからである。
しかし、もし日銀株の55%を保有する政府が「資本の意志」に洗脳されると日本の通貨発行権が「資本の意志」のコントロール下になる。日銀の伝統的使命は正に、明治時代の偉人たちの危惧そのものである。最近国会内に「日銀のあり方を考える議連」などが発足されたのは、正に55%日銀株を保有する日本政府がアメリカの連銀に洗脳されている姿そのものである。


先週世界の株価が総じて下落した中で日本の株価(ニッケイ平均)だけが急騰した(11月15、16日だけで360円上昇=4%高)。NYダウはマイナス1.77%、ドイツ(DAX)はマイナス2.97%、中国(上海総合)はマイナス2.63%。
野田総理が11月16日解散を決め総選挙が12月16日に決まると同時に次期政権の首相と目されている安倍晋三自民党総裁が、「インフレ目標を2−3%にし、例えマイナス金利になっても無制限に金融緩和を行うべきだ」と述べたニュースが世界に伝わり、市場が「日本の次期政権は無制限金融緩和をする」と受け取り一気に円安となり、「円安は日本経済にプラス」という間違った方程式に従ってニッケイが急騰したのである。しかし私は「ここ一番!」(有料市場情報誌)で「三日天下」と斬り捨てている。(日銀のポジション、GDP、3月決算等から解説している)。
本日は3日目だからニッケイは上がるが、明日の4日目からどうなりますか?
今後2020年までの「資本の意志」の対象は中国と欧州である。中国の中央銀行(中国人民銀行)と欧州中央銀行(ECB)は国家又は国家群の機関であり国家の支配下で「資本の意志」の影響力が及ばない。「資本の意志」はこれからの日本を含む世界をECB解体と新欧州中央銀行の設立、中国の民主革命で独裁政権を民主・自由経済体制に切り替え新たにアメリカ並みの中央銀行を作るのに都合がいいように誘導する。「2020年までに所得とGDPを倍増する」と先の中国共産党大会で打ち出された指針は「資本の意志」と完全に合致する。
中国経済を安易な外需依存から内需依存に強制的に切り替えるには日中貿易依存度を落とし、国内生産を安易な外資中心から国内企業へ強制移管する必要がある。経済を自由に放置すれば内需依存は達成出来ない。従って日中政治問題(領土問題)がさらに悪化し日中経済に悪影響が及ぶことが望ましい。
「資本の意志」は2020年の民主革命前夜の中国経済がアメリカのGDPを抜き今日のアメリカのように財政破綻状態に陥っている必要があり、その為には今まで以上に軍事予算肥大化で財政を圧迫させる必要がある。集団自衛権容認、憲法第9条改正の安倍政権は日中の軍事緊張を高めるので「資本の意志」の望むところであり、さらにナショナリズムが基調の石原慎太郎代表の維新の会が政権に影響力を持てば中国との関係は最悪になるので「資本の意志」にとっては願っても無いことである。


欧州資本と金融支配の実現を狙う「資本の意志」は現在世界経済の最大不安要因の欧州債務危機をどう処理するか、その結果がアメリカ、中国や日本経済にどのような影響を与えるか、2013年世界経済危機とは一体何かについて克明に解説する次回の「小冊子」(Vol.41)をご期待下さい。



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