第825(2013年4月30日号)

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戦後からの「守りの政治」を「攻めの政治」に変える安倍政権!対中政治戦略が攻めに変わった!

日中国交正常化(1972年9月29日)で田中角栄首相と周恩来首相は「尖閣諸島問題は将来にわたって棚上げにする」ことを「暗黙の了解」と定め両国の国交回復に当たって解決すべき事項に加えなかった。(だからと言って「尖閣諸島問題は解決済み」とは言えない)
後に同共同声明の順守を確認する日中平和友好条約が1978年8月12日に締結されたが、日本が批准した10月23日に先立つ10月22日、中国指導者として初めてケ小平国家主席が訪日、同月29日まで滞在した。
ケ小平主席は「釣魚島(尖閣諸島)の領有権問題は将来の知恵に委ねるべきである」と述べ国交正常化の暗黙事項の踏襲を主張し、日本側も領有を主張すると「一つの中国」(台湾との国交断絶)を引き換えに求められるのを恐れ暗黙の了解を継続することになった。
ところが2012年4月16日ヘリテージ財団(米シンクタンク)主催のシンポジュームで石原前都知事が講演、「尖閣諸島買い取り」の意向を示したことに端を発し国有化が決定(同年9月)したことで、日中国交正常化以来先送りされてきた尖閣諸島問題の「暗黙の了解」を日本側から一方的に反故することになった。
これは戦後から日本が踏襲してきた「守りの政治」から「攻めの政治」への大転換を意味する。前記平和友好条約第二条で「、、アジア、太平洋地域においてもまた他のいずれの地域においても覇権を求めるべきでなく、、いかなる国または国の集団による試みに反対する、、、。」と定められているにもかかわらず、中国は南シナ海南沙諸島の岩礁に基地を建設、軍艦・補給船、ヘリ発着場、砲門、対空レーダー・通信衛星装置等を建設しアジアにおける制海権拡大を続けている。
中国のアジアにおける軍事覇権にアメリカが何らかの軍事的対抗措置を執らないのは、こうした中国の軍事脅威に対して日本が「日米安保の枠内」で自主的に自衛行動が執れるよう集団自衛権の確立を求めている為である。アメリカの日米安保の認識は対日軍事支配だから、アメリカにとって憲法9条改正は日本に自国の安全保障権を許すことになり日米安保の対日軍事支配の効力を損こねるから望ましくない。安倍首相がアメリカの腹を知りながら集団自衛権はもとより憲法改正で本来の「日本を取り戻す」と主張し、政権中に憲法改正の道筋をつけようとしているのは正に「攻めの政治」である。

「中国けん制」の為の対露接近戦略

安倍首相は自ら進んで4月29日にロシアを訪問、プーチン大統領と日露平和条約と北方領土問題解決を強く求めプーチン大統領の同調を得た。中国の軍事覇権拡大を阻止することは日露両国共通利益である共同認識の上で、安倍首相は率先して「外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)設置」や「極東・シベリア開発共同基金創設」など、積極的にロシアを抱き込む戦略を打ち出した。
日本の対露接近は対中けん制ばかりでなく対米けん制にもつながる。
2月22日の日米首脳会談で安倍首相はオバマ大統領に天然ガスの低価格輸出を要請したのに続いて今プーチン大統領にも天然ガスの低価格輸出を要請した。
日本の足元を見られたジャパン・プレミアム価格を排し、米・露を天秤にかけて価格競争をさせ安価で仕入れようとする安倍首相のしたたかな計算が見える。
日本は大した首相を持ったものだ!

無謀な「黒田異次元金融緩和」?

本誌で、日本のGDPの3倍のアメリカのFRBと月額ほぼ同額の緩和を決めた日銀の金融政策には欧米ででも異論が多いと述べた。「物価が2%になるまで異常な金融緩和を続ける」と言うのはいかなる(過去の)経済理論でも説明出来ない。「異次元緩和」の意味するところは、「財政政策に無関係な金融政策」であって「無責任」の誹りを受けるのは当然。私は何冊か前の「小冊子」で「下り坂哲学」について述べ、「成長無き時代の財政はどこまでも累積赤字が続く」、また「金融政策は何時までも金融緩和を続け何時までも赤字国債を買い続けることになる」と述べた。経済成長が止まって財政赤字と負債が何時までも累積すれば(会社で言えば売上が伸びず赤字が増え続ければ)負債は永遠に返済不能状態(潜在的財政破綻)に陥る。今や「国債を財政黒字で払う時代は終わった」のである。経済成長が期待出来なくなった時代では通貨を発行して国債を買い続けなくてはならない。国債を買い続ける限り金利は上がらず、インフレにならず、家計の所得は伸びないがデフレ続きで物価は安く、住宅資産と金融資産(株価)は上がり続けるので、何時までも借り換えで借金を続けるので、丁度国と同じ借金王になるが、年中景気のいいバブル状態が続くことになる。
古い考えでは、雪だるま式に借金が増え続け、何時か破裂するだろうと言うだろうが、中央銀行が通貨を刷り続け国債(借金)を買っている限り破裂も崩壊もない。正に「超リフレ時代」の到来である。
「財政健全化」という言葉はもはや「死語」である。「古い頭」にとっては「無責任」、「異常」、「狂気の沙汰」であっても「新しい頭」には倍々ゲームの黒田異次元緩和は「当たり前」の事なのである。日本は一番遅れて金融緩和をしたのではなく、新しい無成長時代に先駆け、「一番乗り」で、この世が終わるまで、永遠に通貨を刷り続ける「攻めの金融政策」を打ち出したのである。

欧州経済で最強のドイツはAusterity(緊縮財政)を南欧の過剰債務国に強要しているが、欧州で最も時代遅れの国である。
ドイツが非難する「放漫財政」、無秩序な「バブル経済」は新しい時代のあるべき姿である。
FRBが「緩和出口」を意識している内はまだ日本には追い付けない。
日本の国の借金はGDP比245%(2013年の予想)で人類の歴史始まって以来の超大借金。その借金王の日本がドイツの言う「狂気の沙汰」の黒田異次元緩和が始まったとたんに日本の金利は世界一の低金利になった。
今や大学で学んだ経済原論をすべて忘れなくてはならない時代になった。

いずれにしても安倍内閣は日本を世界の日本にする内閣である。

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