第893号(2014年3月10日号)

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世界の政治・経済革命前夜

私は「2014年は政治・経済の構造革命が起きる年」と述べてきた。
さらに「ドルの暴落」が起きるとも述べた。欧州会議(2月17日‐19日)で回覧されたFRBの秘密文書は「FRBの金保管所Fort Knoxには金塊は無い」ことを証明するものだが、FBRの金の最大輸出先である中国でアメリカからの金輸入量が確認されなくては秘密文書だけでFRBの保管所に金がないことの必要・十分条件が満たされたことにならない。本日のインターネット・セミナーでお話しするように、10数年来の友人(現在中国国務院経済開発委員)のY氏から電話があり、USC(南カリフォルニア大学)の教授で次期上海市長に推されているK氏(昨年来の知り合い)が至急私に会いたいと言うので急遽L.A.に行くことになった。欧州会議のことについて知りたいそうである。これでFRBの金塊に関する十分条件が得られるかも知れない。さて、本誌でも欧州会議で「ドルの問題は秘密文書ではなく別の形で現れる」と言われていたと述べたが実は「別のこととはウクライナ問題」だった。ウクライナでのProtests(反政府運動)はアメリカと欧州の支援によって起こされたが、穏健派は欧州、過激派はアメリカ(CIA)の支援である。ウクライナで先ずアメリカと欧州から反政府運動の支援を受け、親欧米の議会と野党は親ロのヤヌコビッチ大統領を逃亡に追いやりクーデターに成功、獄中から解放されたチモシェンコ(ロシアからの独立運動‐オレンジ革命の立役者)を擁立した。この時点でロシアはクリミア議会がクリミアのロシア帰属を決議したことに乗じ約3万の軍隊をクリミアに投入、ウクライナ軍をクリミアから排除した。アメリカと欧州は直ちに対ロ制裁(ロシア支援関係者の渡航や口座凍結など)を実行したがロシアの外務大臣セルゲイ・ラフロフ(Sergei Lavrov)は「アメリカの対ロ制裁はやがて藪蛇となってアメリカを阻害するだろう」と述べるや、すかさずクレムリンの高官(Serge Glazyev)は記者団に、「ロシアは諸国と提携してドル以外の国際決済手段を確立する。
アメリカの金融機関がロシア企業に融資している資金の返済はしない、さらに我が国は米債約$200 billion(約20兆円)を保有しているが、対ロ制裁をするならアメリカは最早信頼に足る国とは言えず、我々としては、ドルは信頼出来ない通貨としてドブに捨てることになる」と述べた。欧州の天然ガス需要の16%はウクライナ経由でロシアからパイプ・ラインで供給されている。ロシアはウクライナが払うべきヒーティング・オイル代金$1.55 billionが滞納になっていることを理由に天然ガス単価の切り上げと供給停止処分を伝えるなどウクライナと欧州を脅迫している。
これに対してアメリカはFTA(アメリカ、メキシコ、カナダの自由貿易圏)以外の国への原油・天然ガス輸出は軍事戦略物資として制約されているが、すでにロシアからの欧州天然ガス輸入量6 billion立方フィートを上回る8.5 billion立方フィートの輸出許可を6社に与えている。ロシアは米国債を売ってドル価を暴落させ原油と天然ガス価格を高騰させ欧州のアメリカからの原油・天然ガス輸入を困難に追い込もうとする。このようにウクライナ問題は、ウクライナが持つ欧州生産高の30%の小麦とコーンの供給力と世界有数のウラニューム供給力を巡るアメリカ、欧州、ロシアの利権争いであると同時に、シェールオイル・ガス革命による供給過剰で国内価格が下落、採算割れになろうとしているアメリカが欧州の原油・天然ガス需要をロシアにとって代わろうとする点にある。
欧州はアメリカとロシアの欧州市場争いを歓迎する立場にあり、ロシアがドルを下げればユーロは上がるので、強いユーロでアメリカの原油・天然ガス企業の買収を狙っている。ウクライナ問題はアメリカのシェールガス・オイル革命の成否の問題であり、ロシアの基軸通貨ドルに対する挑戦であり、また欧州の対アメリカ植民地政策の一環でもある。幸い中国はロシアのクリミア侵攻とロシア帰属問題にはノーコメントとしているので私は中国にクリミア問題でロシアに賛成する条件として欧州向けの天然ガス(6 billion 立方フィート)を中国に回すことを求めなさいとアドバイスするつもりである。
私としては中国の重要人物との会談後、私のWSSシステム参加を助けてくれ、また世界のエネルギー専門家でありロシア北極海底石油・天然ガス開発のプーチン大統領のアドバイザーでもあるDr. Kent Moors氏に3月26‐29日カリフォルニアで会うことになっている。プーチン大統領から本音を聞くチャンスを作ってもらえれば私の「モノの見方」の必要・十分条件が総て満たされることになるばかりか、アメリカのアキレス腱に対してどうするか(故中川昭一氏が考えていた危険な考えとは別のやり方で)私の私案をプーチン氏にぶつけることで北方領土問題解決の糸口がつかめるかも知れない。

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