第955号(2014年12月24日号)

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イエレンFRB議長のクリスマス・プレゼントどころではないですよ!

「本年10月にNY市場が暴落する」との予想は昨年から続けて述べてきた。
理由はただ一つ、「FRBの緩和出口は10月」と1年前から読んでいたから。NY、ニッケイはもとより、ここまで世界の株価と債券価格を上げてきたのはFRB主導の金融緩和以外の何ものでもない。アメリカのGDPを2%前後に支えてきたのは金融緩和で資産を増やした金融、不動産、建設等の緩和恩恵組だけで、製造業も消費も、いわんや所得も伸びなかった。だから世界の中央銀行(FRB)が緩和出口で、将来利上げ、引締め政策を採ると決まれば、株価と債券価格が下がり、金利が上がって、欧州や日本のリセッション、さらに中国の低成長の外部要因が加わってNY市場が暴落すると予想するのは当然であった。
予想通りの10月暴落を阻止したのは黒田日銀の唐突な追加金融緩和であった。
10月15日からのNY市場の中暴落で、あわやこのまま暴落かと思いきや、日銀追加緩和で、アメリカから逃げかけていた国際資金が、一気に逆流、日銀の通貨安競争の挑戦を受けた欧州中銀(ECB)は来年早々の大規模な緩和政策を発表した。おかげで再び世界中の資金がNY市場に向かいNY株価は連日高値追い10年物米国債利回りは2.2%の低水準。四面リセッションの楚歌の中でアメリカ経済一人勝ちなどあり得ないと、再びNY株価が下降線に向かうや、今度はFRBのイエレン議長が、来年の利上げがあるかないか分からないようなハト派発言で、下げかけていたNY株価は再び上昇。イエレン議長のクリスマス・プレゼントの有効期限は25日までだから、「これまでか」と思いきや、11月27日のOPEC総会の時点で原油価格が38%も値下がりしていたにも関わらず原油減産なしの決定となったため原油価格は1バーレル当たり6月の105ドルから55ドルに急落した。このショックでNY株価は700ドル以上下げたが、反転し今や18,000ドルの大台をクリアした。これは一体何なのか。
この原油暴落は明らかに市場操作であり、綿密に計算・計画された多面的政治・経済戦略である。それは2020年世界のエネルギー支配確定の為の第一弾、欧米対中露陣営を実戦に誘導する為の準備、イスラム国をめぐるサウジアラビア内部分裂と自滅の始まり、イスラエルの対イラン核施設攻撃の準備、独占資本のアメリカ原油市場争奪戦等々、まだこれ以上世界が動転することが仕込まれている。更に付録まである:原油の低価格が来年3月まで続くと欧州経済が回復、日本経済もリセッションから脱出、中国経済成長加速で、NY暴落は起きないことになる。2008年から足かけ6年FRBの金融緩和が終わった時、「原油価格暴落」という史上最大の世界の政治・経済を動転させる戦略が用意されていたのである。
私の「愉快な読み」はまだまだ続く。
年内にお届けする「小冊子」(Vol.63)をご期待下さい。




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