1053号(2016年2月15日号)

マスダU.S.リサーチジャパン株式会社 http://chokugen.com
携帯サイト http://mobile.chokugen.com/

虚像と実像

政治は虚像であり、政治は国民のために国民を騙す為の作為・不作為である。
人間は一人では生きられない「か弱い葦」であるが「社会」の一部だから万物の霊長である。政治なくして秩序なし、秩序なくして社会なし、社会なくして人間なしである。政治が「国民のために国民を騙す」のは秩序のためであり、国民を騙すことなくして政治なしなのである。
私は今までに「小冊子」や、あらゆる機会でアメリカの湾岸戦争について述べてきた。アメリカのイラク侵攻(2003年3月)の表向きの理由は民主・自由主義を旗印にしたサダム・フセイン独裁政治の打倒であり大量破壊兵器廃絶。サダム・フセインはフランス、ロシアと中国にイラクの広大な油田開発権を与えたがアメリカは除外されていた。サダム・フセインはフランスのシラク大統領の願いを聞いてイラクの原油取引通貨をドルからユーロに切り替えていた。
アメリカは軍事力でサダム・フセイン政権を壊滅してイラクをアメリカの支配下に置き、1日300万バーレルの原油をドルに代える為に安保理に対イラク軍事攻撃を提案したが3カ国に断固反対された。安保理常任理事国5カ国中3カ国が反対なのでアメリカがイラク攻撃をする為には国際世論の支持が必要であった。国際世論プロパガンダ専門会社と相談して液化毒ガスを運搬するイラクのトラックの映像や無残なクルード族惨殺シーンのビデオを作らせたり、ケミカル会社にイラクから炭素菌入り手紙をアメリカの国会議員に郵送させたりしてサダム・フセインを悪党に仕立て上げCNNに四六時中放送させ国際世論の支持を得た。そこでブッシュ大統領(息子)は2003年3月バクダッドを火の海にし、フセイン政権を倒し、イラクをアメリカの傀儡政権にし、フランス、ロシア、中国の原油利権を奪い原油取引通貨をドルに戻した。目的を達成したので米軍の長居は無用、今度は国民を嫌戦ムードに誘導することが必要になり、先のプロパガンダはすべて捏造であったことをリークし、国民と議会の支持の下で2016年中全米軍中東撤退を決めた。
さらに過去の話になるが、1990年サダム・フセインはクウェートに侵攻したが、クウェートがイラクの原油を地下で奪い続け、イラクの抗議に応じなかったという正当な理由があったのでブッシュ大統領(父)のイラク攻撃に対してアメリカの国民も議会も反対であった。そこでまたもや政治プロパガンダ専門広告代理店に相談、一番効果的なのは「赤ん坊の虐殺」ということになり、広告代理店は在米クウェート大使の娘(ナイラ)を訓練して、サダム・フセインの兵士が病院(アルアダン)で百人もの幼児を殺害した話を米議会証言させた。この涙ながらの映像が全米、全世界に流れた結果議会はブッシュ大統領のイラク攻撃を支持、国際世論は「サダム・フセインは悪魔だ、鬼だ」!で、アメリカの対イラク戦争を支持した。しかし開戦後サダム・フセインは退陣しなかったが傀儡政権の原油利権は守ったので戦争の長期化は無用、あるジャーナリストに「ナイラ証言はすべて捏造」であることをリーク、戦争反対の世論を喚起して湾岸戦争を終えた。それでも軍産複合体は(当時の円換算で)7兆円以上の特別予算を手にした。炭素菌入り手紙を受け取った議員を追及すれば、炭素菌事件の真相がわかったし、また議会証言主のナイラを調べていたなら彼女がアメリカ生まれで一度もクウェートに行ったことがないことが分かったはず。
しかし1%以下の議員は質問すべきことを知りながら敢えてせず、99%以上は素直にCNNや議会証言を信じて1%の意のままに行動した。
1%の意志が国民とマスコミの99%を騙して他国の富を奪う為に国家を動かす。
これからも世界と日本に数えきれないほどのプロパガンダ攻勢が始まる。
これで得をする者は何を得るのか、そして損をする者は何を失うのか、次回の小冊子(Vol.77)で明確に描くことにした。

「ここ一番!」申込みはこちら
先行受付開始!「小冊子」(Vol.77)申込みはこちら


前へ 平成28年度 次号へ
マスダU.S.リサーチジャパン株式会社
FAX:03-3955-6466
e-mail : info@chokugen.com