1062号(2016年3月23日号)

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通貨戦争の勝者と敗者の交代

通貨戦争とは貿易相手国の通貨に対して自国通貨を安くする戦いで、勝者とは一定の期間相手国通貨より通貨安を保てた場合。
また敗者とは逆に相手国通貨より自国通貨が一定期間高止まりすることである。
2008年からの不況直後(10月)から先ずはFRB(アメリカ)がQE1(第一次金融緩和)の名の下でドル安政策を打ち出し、2013年バーナンキFRB議長が緩和縮小を発表するまでドル安が続いた。それまで日銀白川総裁はFRBのドル安政策に対抗することなくマネタリーベース以上の通貨(円)を発行しなかった。
ここまでの通貨戦争はFRB(アメリカ)の勝ちである。
同年(2013年)4月4日から新任の黒田総裁は異次元金融緩和を発表、マネタリーベースの2倍の緩和に踏み切ったので円安が急速に進み、2014年10月の80兆円追加緩和で円安が2015年いっぱい続いたが、2016年1月29日マイナス金利導入が逆目に出たところから急速に円高が進み、日本の通貨安戦争の勝利も終わりとなった。これからはドルの反撃である。(図@参照)
中国経済の低迷が世界経済にとって問題である。だが、中国経済低迷最大の原因は人民元高である。


中国最大の貿易相手国アメリカのドルと人民元はペッグしているので2015年8月の人民元切り下げで2011年の段階まで下がった。(図A参照)


しかし人民元は円とはペッグしていないので切り下げ後も2011年から40%高である。(図B参照)
世界経済にとって中国経済を回復させることが急務だから対円で人民元を下げなくてはならない。人民元の切り下げをしないで対円で人民元を下げるには人民元とペッグしているドルに対して円を高くすればいい。2月26日の上海G20でFRB議長イエレン、ECBドラギ総裁、小林人民銀行総裁、黒田日銀総裁の秘密会議で対人民元で円高に誘導することが決まった。だからECBの追加量的緩和にもFRBの利上げ見送りにも3月16日日銀はあえてなにもしないことで自ら円高(敗者)の道を選んだのである。上海合意は1985年のプラザ合意と同じく円高合意である。
今後の為替のみならず基軸通貨をめぐる国際金融戦争は「小冊子」(Vol.78)をご参照下さい。

図@為替レート(ドル/円)の推移(2011年1月〜2016年2月)

図A為替レート(人民元/ドル)の推移(2011年1月〜2016年2月)

図B為替レート(人民元/円)の推移(2011年1月〜2016年2月)

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