第401号  (2007年2月4日号)

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「正論」一筆啓上

野党は柳沢厚生労働大臣の失言をとり上げ、本人の辞職か安倍総理の罷免がなければ国会審議に応じないと主張、与党の説得を無視、1月31日からの国会での予算案審議を拒否した。「女性は子を産む機械」とは実に「拙い」表現だが、柳沢大臣が少子化政策についての説明の一環であったことには間違いない。説明をわかりやすくしようと思って、つい「失言」してしまったのが真実だ。実は、ブッシュ米大統領も柳沢大臣に負けず、この種の「間違った表現」や「侮辱に当たる表現」をよくする。物好きな記者が昨年ブッシュ大統領の一演説中のTerrible expressions(ひどい表現)を数えたら50以上あったという。でも民主党(野党)は50回の議会審議拒否はおろか議会で問題にさえしなかった。日本の野党のような発想は「普通の国」の政界には存在しないのである。もし何かするとすれば、「ブッシュ君、次の演説までに“ブッシュ誤言集”でも出版したらどうかね」。するとブッシュがすかさず、「ローヤリティーは君にやるから是非出版してくれ」、、、

大臣の失言など政治年齢が10歳以上の国ではこんな程度のお話なのだ。国家の最高機関で、一大臣の「悪意なき言葉尻」をとり上げるほど「愚か」な国はないのである。つまり国会の権威を傷つけるような「馬鹿げた」行為をしないことは与野党の不文律。いわんや、国民にとって最重要な予算審議を、一大臣の言葉尻を理由に拒否したなら、「わが国の野党は国益より重箱の隅をつつき回すほうが好きらしい」と国民に判断され、次の選挙で野党は大敗する。こともあろうに、日本の野党の党首たちは、「子供を産む機械」の発言をまるで「鬼の首を取ったように」後生大事に、今日は愛知へ、明日は北九州へと地方選挙の街頭に持ち回る。こんな光景がまた世界に伝わり、日本の「国の品格」が落ちる!

柳沢さんも、「機転」が利かないお方だ。「私は子供を生む『機械』などとは言っていませんよ、子供を生む『機会』と言っただけです。つまり子供を生む女性の「チャンス」を国がどう支援するか、、と申し上げたかったのです」と言いのければよかったのだ。たとえ本当は機械のつもりであったとしても、大臣になったらこの程度のセンスは持ち合わせておくべきだ。「大人の政治」では、首相や大臣の失言などはこうした程度のことで済ますものだ。それにしても自民党の「大物」がこの失言問題を来るべき参議院選にからめて自己の存在感をアピールするなど「卑しい」かぎりだ。


罷免すべきは防衛大臣

久間防衛相がもし一国会議員または評論家なら、「アメリカのイラク戦争は間違っていた」とか「米軍再編成の見直しの必要性」など口にしても一向構わない。わが国(小泉政権)が米軍のイラク攻撃を支持し、国会の決議で自衛隊をイラクに派遣した以上、日本国の安全を担当する現職の防衛大臣が国家の意志を否定し、すでに日米国家間で決定された米軍再編成に係わる合意を再考すべきだなど口にするのは言語道断であり、そんな権限はない。

もちろんアメリカにも世界にもアメリカのイラク戦争に対する疑問や批判は存在する。

またこうした批判があることで久間大臣を擁護する者がいるが、正に「味噌糞一緒の類」。

大臣は評論家ではない!久間氏は日米同盟下における防衛大臣として不適格であるから安倍首相は直ちに久間大臣を罷免するか、辞任を勧告すべきである。もし野党がここを突いて、安倍首相が久間大臣を罷免しないなら日米同盟に皹(ひび)がはいるから、国会審議に応じないと言ったら国民は拍手喝采し、アメリカは次期政権に小沢民主党を望むかもしれない。ピントの外れている野党に代わって私が言わせてもらうことにした。安倍首相は一日も早く傷ついいたアメリカの対日信頼を修復すべきである。


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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)