第421国会議員号  (2007年7月30日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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感謝、感激です!

7月28日の「増田俊男の目からウロコの会・大阪夏の陣」には予想をはるかに上回るご参加をいただき、配布資料が不足するほどでした。会場三階の最後部席まで満員、身に余る光栄と存じます。心から感謝と御礼を申しあげます。


安倍首相に突きつけられた
「日本国民とアメリカからの不信任」!

「日本国民とアメリカからの不信任」!

参院選は自民党の大敗で終わった。私は「大阪夏の陣」で、「自民大敗で、政界の再編成が進むことを望む」と述べた。現在の政界が崩壊して「新保守と新革新の二大政党」が生まれるのが私の理想であり、アメリカをはじめ世界が望むところである。

安倍首相は選挙中、外交面での成果をしきりに強調した。特に6月6日から開かれたハイリゲンダム(ドイツ)サミットを環境サミットに導いたのは自分であるとまで言った。ところが、G8終了日の首脳が整列した写真をトップページに掲載した英国Times紙(会場に掲示)を見れば、安倍の主張が真実であるかどうかが分かる。写真には、日の丸も安倍首相の写真もなかった。

Times紙が安倍首相を載せなかったのには「深いわけ」があった。ブレア首相(英国)の引退を数日先に控え、(安倍首相を除く)各国首脳は長年のブレア首相の念願に応えて、今回のG8を「ブレア首相の環境サミット」にしようと考えていた。ところが、事前に日本はドイツにチャーター機で押しかけ、「安倍環境サミット」を目指して大キャンペーンを展開したのである。

結果は、ブッシュ米大統領の機転(5月30日のサミット開催直前になって予定されていた決議案全面否定)でジャパン・キャンペーンは吹き飛ばされ、土壇場のブッシュ・ブレア会談でブッシュがブレアに説得された形をとることで、いったん葬られていた地球温暖化ガス2050年50%削減条項が復活された。ブッシュのおかげで、ブレア首相の念願が叶い、G8環境サミットはブレア首相引退の花道となったのである。

それを祝う晴れの記念写真に、日の丸と安倍首相が載るわけがない! 安倍首相が誇らしげに言う「G8大成功」とは裏腹に、安倍首相はG8でとんだ厄介者扱いになっていたのである。


アメリカの外交戦略転換に無感覚な安倍首相

小泉政権の官房長官であった安倍現首相は、いわば「タカ派」としてボルトン米国連大使やラムズフェルド国防長官等のネオコン主導のブッシュ政権と同一路線であった。北朝鮮の2006年7月ミサイル発射、10月の核実験に対する厳しい国連制裁決議は、安倍―ボルトン・コンビの成果であった。

ところが、昨年11月の米中間選挙の結果、アメリカの議会勢力が共和党から民主党に移ると同時に、ブッシュ政権からタカ派が一掃され国務省・CIAが中心の現実路線が主流派となった。 

その結果、北朝鮮問題は米朝直接会話がベースとなり、6カ国協議は形骸化してきた。現実路線への戦略転換は、タカ派時代のように、北朝鮮に対して人道主義(拉致)や民主主義(金正日レジーム交代)を掲げて力の政策(制裁)を追求するのではなく、ギブ・アンド・テイク(取引)で目的(核廃絶)を達成する戦略である。

安倍内閣はアメリカの新路線を理解せず、2月の6カ国協議で拉致問題(理想)を前面に打ち出し、「拉致問題の進展なしに経済援助なし」と主張して、2月13日の「取引」(6カ国協議合意)における経済援助を拒否した。

アメリカの現実路線は(拉致には関わりなく)重油100万トンと核施設機能停止の取引である。G8における政治センスの欠如、北朝鮮問題でのアメリカの現実路線への無対応。こうした国際政治感覚欠如の安倍内閣を、アメリカはとうの昔から諦めていた。英国は言うまでもなく、安倍首相を「対話」のできる相手と思っている先進主要国は存在していないのである。


安倍さん、「サムライ心」はどうした!?

今回の参院選での自民党の大敗は「日本国民と世界からの不信任」である。「今後、結果を出すことが、今回の参院選敗北の責任を果たすこと」などと、どこかの会社社長がテレビで謝罪するときのごとき原稿を読むようでは話の外! 「今回は私を選ぶか小沢を選ぶかの選挙です」と言ったのはどこの誰だ!

もし民主党が負けたら、小沢は自らの政治生命を絶った。それなのに安倍は、大敗を喫したのに「権力にしがみつく」! 「今回の選挙は改革を推し進めるか、それとも逆行するか、それを選ぶ選挙です」と言って大敗。「安倍内閣に改革などとても任せられない」というのが今回の選挙結果であることは明らかだ。では、どうして「改革を進めて結果を出すことで責任を果す」ことになるのか。頭(論理)のほうは大丈夫ですか? と聞きたくなる。こんな人間に「美しい日本」を作るなどと言う資格はない! 国民の審判を無視して安倍続行を支持する「意気地なしの自民党議員たち」! なぜ「総裁選」をして心機一転で出直さないのか? 国民の意思を無視するも甚だしい。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)