第443  国会議員号  (2007年12月13日号)

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原油1バーレル150ドル!

私は年初から「今年原油は100ドルまで高騰する」と言ってきた。現在若干下げているがやがて100ドルまで回復し、2008年に原油価格は150ドルをマークするだろう。 

1998年の超円安(147円)の最中に「10月上旬に円は110円になる」と私が予想して当てた際の最大の理由は、ヘッジファンドのキャリートレード動向をしっかりと掴んでいたからであった。今回の9月からの原油の急騰についても、私の100ドル予測の最大の理由は、MYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)の原油先物市場の「取り組み」である。市場では中国やインドの実需逼迫などが原油高騰の理由とされているが、私はそうしたマクロ情報は目先の予測に採用しない。NYMEXでの原油先物売買建玉は約130万枚(1枚1000バーレル)だが、オプションは250万枚になっている。この傾向は本年9月から続き、大量のコールオプション売ってきた投機筋は80、90、95ドルと権利行使価格に接近する度にヘッジ買いを迫られた。こうした真空地帯の環境下で、原油はまっしぐらに上昇し続けたのである。最近でも、私は9月5日のハワイでのセミナー、9月12日の(経済)同友会、また26日の私的勉強会で原油価格年内100ドルを予告している。

皆様は、今後の原油価格がこのまま調整されるかどうかが知りたいところと思うが、答えは「一時調整、以後高騰」。マクロ情報はボデーブローのようなもので、じわじわ効いてくる。価格押し上げ要因としては中国、インドの実需逼迫に加えてアメリカの石油精製能力不足、ヒーティングオイルの在庫不足などがある。米国経済は外需依存になり、特に新興国に期待がかかっているが、原油高はエネルギー効率の極度に悪い新興国を直撃するから、期待通りにはいかないだろう。となると、今までの投機マネーの商品市場シフトは維持されることになり、原油価格高の要因となる。

さらに地政学的要因もある。それは私が常日頃述べている中東情勢である。ブッシュ政権の中東和平政策の本音はイラン孤立化だから、2008年11月の米大統領選までにイスラエルとイランとの緊張は極度に高まるだろう。ホームズ海峡の異変は原油価格を跳ね上げる要因である。マクロ情報のボデーブローは概ね以上であるが、さらにアッパーカットが隠されている。先に述べたNYMEXではすでに200ドルのコール取引が成立し始めている。私が何を予測しても必ず「でたらめを言うな」とよく叱られるが、日本の国益のためには、来年末になって「申し訳ありませんでした」と私が謝ることになった方が良いのですが……。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)