「アメリカの凋落」は本当か!? 最近よく「アメリカの凋落」が語られるようになった。しかしアメリカが今なお世界一の軍事力を持ち、ドルが世界の外貨準備高の63.8%(2007年9月IMF)を占めている以上、アメリカが世界の覇権国家であることを否定することはできない。世界一の軍事力を持つということは、世界のいかなる国もアメリカに対して制裁を加えられないばかりか、いかなる国際機関もアメリカの決断には無力であることを意味する。今なお「アメリカの軍事力は絶対」なのである。 " The dollar diversification story is likely to stay alive through the course of 2008. It's not something that' t going to happen overnight. It's long-term negative for the dollar".(外貨準備をドル以外の通貨に分散保有するという話は2008年も続くだろうが、そうかといってそれが一夜にして起こることでもない。しかし、まあ長期的にはドルにとってマイナス要因であることに違いはないが)と、ポールソン財務長官は長期的にはプラスになる話ではないが、当面はさして問題にするほどのことではないと発言している(2007年11月9日の記者会見)。ドルが世界経済における支配力を保つために重要なことは、世界の外貨準備に占める割合を維持または高めることと、国際経済における決済通貨としてのドルの比率を高めることである。前述のようにドルは昨年9月末現在で外貨準備高の63.8%を占めてはいたとはいえ、その3ヶ月前には65%を占めていたのだから、かなり急速に比率を下げていることが分かる。この下げが単にサブプライムローン問題による一時的現象なのか、それとも別な理由があるのかは一応精査するに値するだろう。 外貨準備と国際決済通貨上のドルの占拠率下落のため、ドルが機軸通貨として疑問視されるようになってきたのは事実である。1999年ユーロ誕生時、国際決済通貨上のドルの占拠率はほぼ50%であったが、2007年6月にはついに24.5%まで下落し、その一方でユーロは37.7%に上昇してきた。国際決済通貨としてのユーロの比率が上昇すればするほど外貨準備の比率も拡大する。最近「ドル不信」、ひいては「アメリカの凋落」が語られるのはこうした現状を見れば当然なのかも知れない。 しかし、仮にドルの凋落という言葉を使うなら、これを食い止めている大きな後ろ盾の存在を知らねばならない。それは、ドルにペッグしている中国の人民元と中東産油国(クウェートを除く)の通貨である。アメリカは中国に人民元の切り上げを求め続けているが、それは本音ではなく、望んでいるのはドル買いであり、人民元切り上げ要求とはドル買い圧力なのである。事実中国は、毎日変動幅一杯に人民元を売ってはドルを買い続けているではないか。クウェートを除く中東産油国は、2007年11月ドルの急落時に一斉にドルとのペッグ制を維持したまま通貨切り上げを行なった。高成長が続き外貨準備が増え続ける中国と、止まることを知らないオイル高で潤う中東産油国がドルを支えている事実を無視してはならない。 ユーロは国際基軸通貨になり得るか それはちょうど日本の「民主党は政権政党になり得るか」と同じ質問である。答えは言うまでもなく「ノー」である。いくら人気があってもEU(欧州連合)も民主党も本質は「野合」でしかない。いずれも政治的に統一されていない。(NATO軍から米軍を排除できない)ユーロ高はアメリカ経済の欠陥のためであり、欠陥は是正できる。同じく民主党の人気は自民党の失策が拠りどころになっている。野合・並列国家連合のEUは世界の指導者になり得ないし、野合そのものの民主党に政権政党の資格はない。 ではアメリカは事実上衰退しているかに見えるドルに対して、確かな戦略を持っているのだろうか。実際にはドルの国際経済支配力を増大させることなど、アメリカにとってまったく容易いことである。アメリカは、ドルがかつてペッグ制で支えた人民元や中東産油国通貨に今や逆に支えられているように、アメリカはこれから登場してくる成長国の通貨を次々にドル化または通貨統合していくだろう。抵抗すればサダム・フセインと同様の運命が待っているだけだ。それはちょうどお客(国民)を乗せた幌馬車の御者(大統領)が若々しい馬(新興国)を、ある時は強引に捕まえて、弱くなった馬と取り替えながら走り続けているようなものだ。 まだ世界の80%の国々は生まれたばかりの暴れ馬だ。だんだん調教(民主化)され、欲(ドル)の虜になったら、こんどは鼻先にドルの匂いがぷんぷんする人参を吊るされて、アメリカに捨てられるまでアメリカの幌馬車を引っ張り続けることになる。アメリカの軍事力が世界一である限り、まだまだアメリカの世界支配は続く。パックス・アメリカーナはまだ始まったばかりなのだ。 だが、いつかはパックスアメリカーナに終わりがくる 「ドルの凋落」も「アメリカの終焉」も今後100年間はあり得ない。アメリカの衰退を口にする者は対米劣等感か、自らの過信か、あるいは無知なのかも知れない。パックスアメリカーナは、アメリカが世界最後の荒馬(後進国)にアメリカの幌馬車を曳かせ終わったところで終わる。ずいぶん先の話だが、アメリカの衰退後世界の盟主として挙げられるのは日本だろう。Money talks(金がモノ言う)、Gun talks(武力がモノを言う) 時代がアメリカと共に終焉し、その後にGive and give talks(奉仕がモノを言う)の時代と共に日本の時代がやってくることを、アインシュタインと共に信じよう。世界最大の債権国家であり続ける日本にとって、奪う必要はなく、また奪うための覇権も無用。日本は一生懸命価値を創造し続けながら世界に与え続ける以外に何も出来ない国なのである。野心なき世界の盟主日本! 新年に当たり、初夢を語った次第である。 日本から世界へ、謹賀新年。 追伸:ハーバート・ロンドン氏と私は、「目からウロコの会」新春スペシャル(1月26日)前の20−23日イスラエル(テル・アビブ)で国際会議に出席します。 イギリスのブレア前首相、米ボルトン前国連大使の他世界の重鎮が一同に会します。本年中東に何が起きるかで株価、為替はもちろん米次期大統領も決まります。誰にも話せない世界のインサイダートークが期待できます。各界のプロにとって欠かせないプライベートトークになりそうです。 至急資料請求をされることをお勧めします。ただしお申し込みいただいた後ご辞退をお願いする場合がありますのでご理解ください。 増田。 ご興味のおありの方は別紙で「資料請求」をお願いいたします。
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