第457  国会議員号  (2008年03月05日号)

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相場のことはアメリカの赤字に聞け

先週木曜日(2月28日)に、「今すぐ売って、しばらく相場から手を引くように」といった意味のことを本誌で述べたが、今日の株価を見れば忠告が正しかったことがわかる。今まで、「命拾いをした」とか、「これで三度救っていただいた」とか連絡をいただいたが、数えるほどの方からだけ。大勢の人がひどい目にあったのではないかと心配している。

私は今月(3月)いっぱいの予想と夏からの予想を述べてきた。3月はアメリカにとって最重要な月で見逃すことのできない月である。何度も述べてきたが、世界的大暴落、大恐慌とはアメリカの長年(今回は7年間)の累積赤字を一瞬にして世界に払わすためのイベントである。サブプライムローン焦げ付きから起こった信用収縮などものの数ではない。

アメリカが帳消しにしなくてはならない赤字は日本のGDP(500兆円)にも匹敵する額である。世界中の中央銀行が緊急緩和をしたり、利下げをして追いつく規模ではない。たとえばニッケイが3000円程度下げると約100兆円の金融資産の含み減となるが、アメリカにとっては日本が含み損を持ったのでは日本に赤字を払ってもらったことにならない。また株価が戻れば日本の金融資産が元に戻るだけでアメリカの赤字は払われない。含み損ではなく実損が計上されてはじめてアメリカの赤字が日本の実損で相殺され日本に自国の赤字を払ってもらったことになるのである。これでもうお分かりだと思うが、3月は決算期である。だからここで株価暴落があれば日本は決算上赤字計上となりアメリカの赤字を払わされることになる。その後株価が上がったからといって日本が払った赤字をアメリカが払ってくれることはない。市場の情報をリードするアメリカが3月暴落を演出する可能性は高い。短期的読みといっても、このようにアメリカが主導する資本主義の基本にマッチして考えることが肝要である。


では今年はどうか

世界中が金融資産と不動産資産の資産減で相場が底を打った後は、赤字を他国(世界)に押し付けて比較有利になったアメリカが世界経済を主導する。当然のことながらもっとも波及効果のある公共投資、軍需投資を拡大するため、アメリカは中東で国際戦争を仕掛ける。このことについては度々本誌で述べた。「風が吹くと桶屋が儲かる」の論理で日本がNo.1の恩恵を受けることになる。戦後の歴史を顧みれば朝鮮戦争、ベトナム戦争、東西冷戦等々が続いている間日本経済は成長拡大してきた。そして冷戦が終結し、ソビエト連邦が崩壊した1991年から2001年9/11が起きるまでは不況のドン底続きであった。ブッシュがテロとの戦争を宣言しアフガン攻略を本格化させた2002年からはいざなぎ景気を凌駕する好況になった。何故か?答えは、「何故風が吹くと桶屋が儲かるのか」を考えるしかない。というわけで、3月暴落を終えて、身軽になったアメリカが政治経済で世界の主導権を握ることが明白になる今年の夏から大相場の連続となるだろう。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」!?



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)