乗波泳巧(波に乗って巧みに泳ぐ)
「波」は「流れ」の現象である。波は見えるが流れを起こす力は見えない。政治も経済も流れに乗って移り変わり続ける。流れを作る力のことを摂理と云ってもいいだろう。
流れを予知する人は前進するが、知らぬ者は後退し、やがては消え去る。人は生存のため与えられた現象から流れを起こす力を予知しなければならない。ところが何万人に一人くらい、現象を待たずして力を知る天才がいる。心眼を持つ者だ。
さて、何度も繰り返し述べてきたように、アメリカの主な投資銀行がFRBの資金供給なしでは破綻を余儀なくされるほどの金融危機や、膠着化したブッシュ政権の政治ジレンマはアメリカ政経の末期現象と言っても過言ではない。そして今アメリカの苦境を跳ね返すために180度流れを変える新たな力が台頭してきた。私が2006年以来指摘してきた本年の夏相場とは、まさにその現象である。
力には望み、希望、願望、夢、誇大妄想から生まれる力、すなわちソフト・パワーと、時間によって面積が増減することのない土地や重量不変の鉄などに象徴されるハード・パワーがある。ソフト・パワーが風船のように膨らんでいる間、人は幸せだが、やがて風船はパンクして人は不幸になる。ハード・パワーの時代は夢のない冷たい現実の連続で、成長は望めない。しかし不動のハード・パワーが蓄積され過ぎると、突如パワー拡大の方向へ向かい始める。すなわち他国のハード・パワーを奪うことによって自国のパワー拡大を計ろうとするのである。つまり戦争現象が起きるのである。ソフト・パワーが破綻した跡に控えているのがこのハード・パワーであり、他国のハード・パワーを奪うことを正当化する戦争時代の始まりである。
これからの政治と経済の流れを作る力はGive & takeの原理ではなくTake &
takeを基本としたハード・パワーである。人間の歴史はこうしたソフト・パワーとハード・パワーの交代劇以外の何ものでもない。まさにHistory
repeats itself.である。
だから、ハード・パワーの時代に買うのはハード、売るのはソフトが大原則。
「夢破れて山河あり」ではないが、極度にリスクを低減したと言われた複雑な金融商品も今は紙くずだが、アルカイダに撃墜されたヘリコプターの破片は残っている。これからしばらく投資家は、この原則を忘れてはならない。人が時代を変えているのではない。人が歴史の流れに流されているだけなのである。だからこそ流れを読むことが大事なのである。
※電話、メール、面談で、「よろず承り」のコンサルの評判がよく、大変喜ばれていますので続け ることにしました。詳細は:増田俊男事務所、秘書の宮岡まで:03-3591-8111
※今何を売って、何を買うか。増田俊男の「2008年 夏の陣・目からウロコの会」バーチャル版を ご参考に。
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