第483 (2008年08月29日号)国会議員号

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オバマ氏は軽い

ワシントンD.Cの私のシンクタンクに、ある民主党の重鎮からデンバー(コロラド州)で開催された民主党大会(25日−28日)の招待状が来ていたが、ハワイでの仕事で時間がとれず欠席した。以前より私はアメリカで英語版の「時事直言」”Straight from Shoulder”を政界、ファイナンス業界に発信しており、最近では米大統領選について様々な方より意見を求められているが、私は一貫してオバマ大統領の可能性が皆無であると云い続けている。

外交政策、経済政策等々の議論以前にオバマ氏が大統領としての風格があるどうかが問題である。どこかの企業の社長人事の話ならともかく、政治・経済でもっとも大きな影響力を世界に与える国の最高権力者の人選だ。上院議員生活も短く、戦争の経験もなく、しかもマイノリティー出である。日本で言う「貫禄」があるとは考えられない。メディアに通じたスマートなアシスタントが作り上げた「変化」のイメージに乗っているに過ぎないのではないか。いわば「極めて軽い人物」といわざるを得ない。


オバマ氏の政策は冗談!

オバマ氏に正式指名を決めた民主党大会で政策綱領の発表があったので重要な政策について考えてみる。民主党は基本的には「大きな政府」を打ち出し、富の分配規制を強化、市場への規制強化、労働組合組織拡大支援、健康保健、福祉予算の大幅増額、中東問題では「イラクからの責任ある撤退」を主張している。まず「大きな政府」は時代逆行。経済に国境がなくなったグローバル時代、「小さい政府」が望ましい。「国民(企業を含め)のために政府があるのであって、政府のために国民があるのではない」。政府が大きくなれば国民はそれだけ小さくなる。市場への規制強化も時代逆行。市場は時として過剰投機に陥ることがある。しかしだからと言って法で規制するのは間違いである。市場には「自立調整機能」があって必ず行き過ぎれば調整される。原油価格が150ドル近くまで上昇して世界中大騒ぎになったが、わずかな期間で110ドル台に下落したのを見ればわかる。市場に対する規制強化は即アメリカからの資金逃避となり、金融資産は減少し不況を加速させるだけである。オバマ氏にはアメリカ経済は恒常的外資依存型である事実認識が無いようである。労働組合の拡大策は有権者数の多い年収5万ドル前後の層の人気を取りたいのだろうが、政治がバックアップしなくてはならないのはアメリカ経済のエンジン(原動力)でなくてはならない。今ビッグ・スリー(フォード、GM、クライスラー)がスリム化で何とか生き延びようとしているタイミングを捉えて労働組合強化政策とは、まるで死人の足を引っ張るようなものだ。

福祉予算の大判振る舞いも確かに低所得者には歓迎されるだろう。しかし不況時は政府も国民も無駄を廃してお互いに耐えるとき。そんな時に福祉の大判振る舞いとは、オバマさん気は確かですかと聞きたくなる。オバマ氏の政策はすべて正気の沙汰ではないが、中でも最悪なのはアメリカ経済のエンジンである年収25万ドル以上に重税を課すこと。

リセッションに陥りかけているアメリカ経済の原動力にストップをかけようとしている。

中東問題では「米軍の責任ある撤退」を主張するが、歴史的にアメリカから外資が逃避しアメリカが不況に落ち入ったとき、再度外資をアメリカに集中させる手段は戦争以外になかったことを若きオバマ氏は知るべきである。民主党の政策綱領はすべて「冗談」としか思えない。オバマ大統領など太陽が西から昇ることがないように、まったくあり得ない。

オバマの支持率はそのままアメリカの「恥」である。

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