第484 (2008年09月01日号)国会議員号

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明日が過去であるわけ

「今夏から相場が変わる」と昨年から述べ続けてきました。そしてそれは北京オリンピックの開催日8月8日に「実証」されることになりました。1991年ソ連崩壊以来「冷戦」という言葉は辞書から消えていましたが、グルジア軍のロシア軍への攻撃(8月8日、グルジア侵攻)で華々しく復活しました。2002年から2006年までアメリカ経済を急速に牽引し、また日本にいざなぎ景気を凌ぐ好況をもたらしたアメリカの住宅・金融ブームは加熱した後、ついに2007年の夏からバブル崩壊に向かい、今なおアメリカ経済にも日本経済にも不況風が吹き荒れています。「先行きが読めない」が市場の合言葉である中私は「8月から新たなアメリカ経済の牽引役が登場する。それはソフトからハードへの転換であり、それを支える世界戦争が始まる」と述べ、株式投資家、特にプライベート・コンサルを受けられた方々には戦争株への切り替えとそのタイミングをアドバイスしました。私が昨年から「8月」を指摘したことには理由があります。実はサブプライム・ローンの行き過ぎの懸念が最初に認識されたのは2006年2月です。(私の長年の友人が経営陣にいる)Bear Stearns(ベアースターンズ)異変の兆候を確認しました。その直後リーマンブラザーズの友人からも同様な指摘がありました。2006年当初からサブプライム・ローンという名の住宅バブルが崩壊することが決まっていたのにNYダウ平均は翌年2007年7月19日に1万4千ドルを、また10月11日に1万4千198ドルの最高値を付け、その後つるべ落としのように今日の1万1千ドル台に急落しています。今日の相場は売り買い両建てのヘッジファンドにリードされているので、バブル崩壊が決まった時点では逆に相場を吊り上げる力が働き、資金的に買いが限界に達したところから一気に売りに転じます。これが相場の流れの基本であり、通常の機関投資家も個人投資家もこの流れに翻弄されるか、巧みに乗るかなのです。

2001年9月11日アメリカで起きた同時多発テロがきっかけでアメリカのテロとの戦争が始まり、アメリカ経済がリセッションを脱して好況になったように、相場の世界も転換時にはシンボルが必要なのです。誤解してはならないことは2001年末からアメリカが戦争経済になったのは、9/11が決め手になったのではなく9/11が必然的変化のシンボルに好都合だっただけのことなのです。2008年になって資金的に売りが限界に差しかかることはわかっていたので、何かシンボリックなものはないかと探したら北京オリンピックがあったということです。これが、いつもの私の口癖、「明日は過去」の背景です。


変化する世界

今夏からの変化とは、相場を動かす情報が経済ファンダメンタルから政治に変わるということで、これがもっとも重要な点です。次は日米経済に大きな影響を与えてきた中国経済の方向転換です。つまり中国は、世界的景気後退を考慮に入れ、すでにオリンピックの2ヶ月前から従来の外需依存から内需依存政策に切り替えています。当然今後日本も同じく内需拡大を強いられます。これに対してアメリカ経済はドル安環境の中で従来の内需依存型から外需依存に政策転換しています。冷戦の長期化で世界資金にとって、今までのようにハイリスク・ハイリターン追及の時代は終わり、安全第一を求めて動きだしています。世界の株式市場が閑散なのはそのためです。世界政治にかかわりのない、また(核保有国でないため)関わることが許されない日本は世界政治から遊離し、結果世界のSafety Heaven(安全地帯)になろうとしています。やがてNYに代わって東京が世界の金融センター化することでしょう。今の日本経済にとって必要なことは補正予算ではなく、国際資金の流入です。

国家はさておき、個人にとっても、世界の政治・経済が180度変わるとき、今までの投資戦略の変更が余儀なくされるだけでなく、財産保全(定期預金・保険など)の仕方も当然再検討すべきときが来ています。

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