第487(2008年09月16日号)国会議員号

増田俊男事務所 http://chokugen.com

悪夢が去った!

年初以来今日まで金融情報センター、ニューヨークは常に悪夢に怯えていた。

「大手金融機関の連鎖倒産」である。FRBはBear Stearnsは何とか救ったが、たとえ大手といえども雨後の竹の子のように次々と金融機関が倒産に向かえば救うわけにはいかなくなる。その悪夢が9月15日現実となった。しかしNYダウ平均の下げ幅504ドルは、ざら場で167ドル安まで戻したこともあり、とても悪夢勃発を象徴するクラッシュとはいえなかった。悪夢が比較的軽く終わった事で先行きに明るさが期待できる。

私は、「乱高下の玄人相場は9月中旬で終わるから、素人は9月第三週から参入したらいい」と言ってきた。やはり本日16日から始めることを勧めたい。

それは本日の暴落(日本は暴落に値する)は「悪材料バブルの終焉」であるばかりか、昨年から私がしきりに述べてきたアメリカの金融再編成の完了を記念することになったからだ。

最悪の悪夢が終った後に来るものはなにか。今度は「いい夢」が期待できるのではないか。

ITバブル崩壊でリセッションに陥る寸前の2001年9月11日(9/11)アメリカを襲った同時多発テロがきっかけとなってアメリカは戦争に突入したことからアメリカは一気に不況を脱し、その後好況が2005年まで続いたことは記憶に新しい。今住宅バブルと証券バブル崩壊でリセッションに陥ろうとしているとき、長く忘れていた「東西冷戦」が始まろうとしていることの意義は大きい。

戦争に備えるには、まず政治では強力な超党派政治が確立されること。また経済の血液であるマネーのインフラ(金融機関)が統一されることが肝要である。米大統領選挙の趨勢を見ると、Commander in chiefとしてのマケインが有力になってきた。そして破綻に追い込まれた投資銀行をFRBの支援を得た商業銀行(Bank of America, CITICORP, Morgan Chase Bank等)が事実上吸収することでアメリカの金融再編成が完成しようとしている。政界と金融界で戦争準備万端というわけである。

したがって9月15日のリーマン倒産に端を発した大暴落は日米経済繁栄を保証する冷戦時代にふさわしい金融再編成を象徴するものとして高く評価されねばならない。

2008年9月16日(アメリカは15日)は歴史に残る政治経済のTurning pointとなるだろう。





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