第488(2008年09月18日号)国会議員号

増田俊男事務所 http://chokugen.com

すべてはアメリカの国益のため

国益に政治、経済の区別はない。ただ今日の人間は自然科学の発展と情報革命で動物としての本能が退化したため、物事を政治、経済、文化などに分類して考えなくては理解できなくなった。しかしアメリカの国益も、自然現象も「先に分類ありき」ではない。

虚弱な肉体の人類が今日まで存在できたのは古代の人間の本能が他の動物より優れていたからである。ネズミもヘビも地震が来る前に移動するが、今日の人間は何百億円もの気象観測予算を掛けても犠牲者が絶えない。人間本能の退化は時と共に進行し自然災害犠牲者の数は時と共に増え続ける。私は努めて古代の感性で今日を読もうとしている。つまり「分類、分析なしの直感思考」である。


さて、アメリカの国益は「世界支配」である。それは人類の歴史が世界支配権の争奪戦であったことを知ればわかることである。「支配」とは「自己と他人」、「自国と他国」の関係である。他を支配することとは他を自分の「奴隷」にすることである。主人は奴隷の作ったもの(ハード)を我が物にし、奴隷のサービス(ソフト)を使う。


さて、支配者が世界のモノとサービスを我が物にするのに、かつての植民地時代のような直接的な搾取が出来なくなった。そこでアメリカは世界が認める「市場」を通して間接的に世界のハード(モノ)とソフト(マネー)を搾取することになった。アメリカが世界の自由化を標榜するのは世界を自由市場化するためであり、市場を通して世界の富を搾取するためである。


今日のアメリカの投資銀行の破綻をFRBはいくらでも救うことが出来たし、株式も先月から空売り禁止をしていたなら今日の株価暴落はなかった。しかし空売り筋に徹底的に売り叩かせたお陰で業績の悪くない投資銀行の株価まで暴落し身売りを迫られることになった。これでほとんどすべての大手投資銀行は商業銀行を通して事実上FRB(中央銀行)の支配下に入った。ここでアメリカは世界支配の追求に必要なマネーの流通(金融機関)を支配することに成功した。無理を承知で世界からアメリカにマネーを運んだ投資銀行の役割も終わったので、世界から集めたマネー(アメリカにとっては債務)の責任を背負わせて倒産させるか、いいところ取りをして、残りは自己責任として世界に投げ捨てるかである。アメリカの世界への負債を消して晴れて世界から取ったマネーをTangible assets(目に見える資産)に代えたのだから、今度は株価を上げて自らの資産評価を上げる番である。そこで「空売り禁止令」なのである。来年のアメリカの国益は戦争志向のマケイン大統領誕生と兵器大増産と大消耗のための中東戦争である。アメリカが戦争するのに自国民と世界から戦争税を取るわけにはいかないので、アメリカ経済恐慌もどきの戦略実行で十分過ぎる戦争税を徴収したのである。世界の損はアメリカの得。王様と奴隷の関係は永遠に変わらない。今回の株価暴落も特に新味があるとは思えない。

というわけで、今後はNYの暴騰から上げ相場が始まる。

*資金の流れが180度変わる時代には今までの資産管理・運用は通用しない。
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