第490(2008年09月25日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

さあ、日本にチャンス到来!

私は下記のことを本誌、プライベート・コンサルティングなどで述べ続けてきた:

1.2008年、世界経済の主流がアメリカから日本に移る(From New York to Tokyo)

2.相場の転換期は今夏(2008年)から

3.2009年は戦争の年

4.米次期大統領はマケイン

5.アメリカ経済の宿命、外資依存型

戦後アメリカの経済政策は、1971年8月15日(日本の敗戦記念日)、ニクソン大統領がドルと金との交換制を突如撤廃した時を境に大転換することになった。第二次大戦中アメリカだけが戦渦を受けなかったため、アメリカは世界の復興需要を一手に担い、また日本を始め自由主義諸国への資金供給源となっていた。ところが1960年代から日本と西ドイツ経済が急成長し工業生産力がアメリカに逼迫してきた。そこでアメリカはモノ造り大国、輸出大国、世界最大の債権大国の座を降り、1971年の日本の敗戦記念日を期して日本や西ドイツ(共に敗戦国)にその座を譲ることになったのである。以後今日までアメリカは脱工業主義、消費大国、金融・ソフト大国、恒常的貿易赤字国、世界最大の対外債務国の道を歩み続けている。

恒常的赤字大国アメリカの経済存続を保証してきたのが、実は今日その存在が危うくなっている投資銀行である。クリントン政権時代のITバブル、そしてまたブッシュ政権のテロとの戦争をきっかけに起こした住宅ブーム。バブルと言う名の世界資金アメリカ一極集中とバブル崩壊による好況の終焉と不況との直面。このバブルによる繁栄と、バブル崩壊による不況のサイクルの担い手こそがアメリカの投資銀行であり、その歴史は今日まで何と百有余年に及んだのである。そして今リスク大国アメリカの象徴でもある投資銀行は無残な形でその歴史を終えようとしている。

1.で私が述べたのは、やがてアメリカの投資銀行が消滅することを先読みしていたからである。アメリカにバブルを起こすために世界資金を集中させる担い手の消滅である。投資銀行なきNYはもはやNYではなく、世界の金融センターになり得ないのである。いつでも必要に応じて日銀から直接低金利資金供給が受けられる日本の銀行が、消滅しかかったアメリカの投資銀行の機能を買い始めた。まさにFrom New York to Tokyoが進行している。

2.今夏の相場転換は単なる相場サイクルではない。根底に金融センターとしてのNYの機能不全がある。単に売り手市場から買い手市場への移行ではなく、今までとはまったくの逆現象、NYが東京市場に連動する大転換期がやって来たのである。だから今やNYの大下げでもニッケイは小幅とは言え上げているではないか。

3.たとえ世界の金融センターが東京に移っても、日本は世界の政治センターにはなり得ない。ITバブル崩壊(2001年)による不況を好況に切り替えるきっかけは政治(テロとの戦争)なくしては不可能であった。だから東京が世界の金融センターになっても、今日の世界的不況を好況に切り替えるきっかけはアメリカの政治に負うことになる。アメリカの世界に対する政治責任において、遅くとも2009年年初に中東で国際戦争を起こすことになるだろう。

4.2009年が国際戦争時代になるなら、アメリカの戦争総司令官にオバマよりマケインが適しているのは日を見るより明らかである。

5.アメリカ経済は一時たりとも外資なしでは成り立たない。世界の金融センターが東京に移るということは、今までのアメリカの投資銀行の働きを日本の投資銀行、野村や大手銀行系証券会社が肩代わりすることを意味する。もし日本に経済的、政治的野心があるなら、アメリカの経済と政治に「支援」の名の元に大きな影響力を及ぼすことが出来る。いや、そうすることで日本の投資の保全を計ることができる。


もし野心を持たなければ、、、、、、数年後、7−8年後、米投資銀行への出資も日銀のFRBへの資金供給も、大きな損失と敗北感を味わうことになるだろう。


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