第491(2008年09月30日号) 特別緊急号
「見えざる決め手」に気付かなくてはならない。 ついにアメリカ経済は「死に体」になったが、、、
The $700 Billion Bailout Plan ( 75兆円の不良債権買取緊急対策)はbetter than nothing (ないよりはまし)とか、too small, too late (小さすぎ遅すぎ)などといわれている。
FDIC (連邦預金保険公社)加盟1479銀行の要注意・不良債権は$2.4 trillion(約255兆円)あり、同じく加盟S/L(セービングローン)銀行のうち158行が抱える不良債権は$756 billion (約80兆円)あり、FDIのwatch list (危険行リスト)だけで$3.2 trillion (約340兆円)もある。ブッシュ大統領、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長がこの75兆円の緊急対策案を発表した9月18日の1日前にFRBはアメリカの有利子負債総額がついに$51 trillion (約5400兆円)を突破したと発表している。Too small(小さすぎ)といわれるゆえんである。100年以上の歴史を持つアメリカの大手投資銀行が次々と破綻に追い込まれたことは今までなかった。宿命的に外資に依存するアメリカ経済にとって外資の運搬役であり続けてきた投資銀行の消滅はアメリカ経済存亡の危機である。自由市場原理に立脚するアメリカでは、たとえ自国の経済危機であっても国家は救うことは出来ないのである。75兆円の緊急対策は、実際のところbetter than nothingで、アメリカの経済危機を救うことできない。市場の自由は経済成長に欠かせないものである反面、経済破綻をとめることはできない。自由主義経済下にあって経済危機に瀕したときは「放置」することが最善の政策(?)なのである。確かにアメリカから外資が流出し、流入に欠かせない投資銀行が破綻に追い込まれているのだから、「アメリカ経済は破綻する」と信じられても不思議はない。しかし何時まで待ってもアメリカ経済が破綻することはないのである。3億の人間はモノを食べ、衣服をまとい、曲がりなりにも人間並みに暮らし続ける。L.A.の12車線のハイウェイはいつまで経っても何十万台の車が走り続けるし、ウオールマートに客は絶えず、飛行機もいつも満席。やがて人々は説得力のあるアメリカ経済破綻の図式より、自らの目を信じ始める。Seeing is believing(百聞は一見にしかず)と。こうして再び外資がアメリカに回帰し始め、「アメリカは破綻する」と言う題の本が売れなくなるのである。経済に対して何よりも支配的で決定的なのは「自律調整機能」という「見えざる力」なのである。
NY市場777ドルの暴落!
今アメリカから外資が逃避するとき市場は、たとえ額はわずか(75兆円)でもアメリカ国内納税者の資金を必要としている。下院が「言いなり承認」に難色を示したので9月29日NY市場は大暴落となったが、これは「暴落の責任は議会にあり」とする市場の議会に対する圧力である。いわば市場の政治に対する強制力の現れである。やがて議会は羊のように市場に従属するであろう。ところで今回のNY暴落で、安全を求める世界資金がいよいよ日本へ向かうことになる。円高はその証!「果報は寝て待て」か?
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