もし今後公共投資、雇用増大策、低所得層向けの思い切った減税が行われなければ、アメリカの株価はどこまでも下がり続けるだろう。ブッシュ大統領は道路等インフラ向けの公共投資や雇用対策を口にするが、具体案を議会に提出しているわけでもなく、市場は単なるリップサービスと見なしている。今後どんな経済再建政策が提案されても、現在大統領選挙中でもあり、政府と議会が即応することは困難。どうしても次期大統領の下で来年のことになる。ところが現実は厳しく、住宅ローンの半分が不良債権化していて、住宅価格は下げ止らない。住宅価格が下げ続けると家計の含み資産が縮小し、信用枠が低下するので消費が減退する。消費が落ちれば企業は供給を落とすため設備投資を見合わせる。消費と設備投資が落ちればGDP(国内総生産)はマイナスに転じて不況に向かうことになる。
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